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「家事は女性がやるもの…だった」Jリーガー大久保嘉人39歳の価値観が激変…9歳の三男と“大阪2人暮らし”で「得意料理は魚の煮付けです」
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byKatsuyuki Masuda(SIGNO)
posted2021/12/05 11:03
今季で現役引退を決めた大久保嘉人。今年、小4の三男・橙利(とうり)くんと大阪で2人暮らしに挑戦している
「莉瑛から『ピカチュウとダグトリオを作ってみたら』とアドバイスされて、前日からどんな弁当にしようかイメトレしました。翌朝6時に起きないといけないというのもプレッシャーだったし、ピカチュウの目はどの具材にしたらいいかとかいろいろなことを考えて、前の晩はぐっすり寝られなかった。でも、寝起きであのクオリティ。オレ自身もちょっと衝撃でした(笑)」
「得意料理はタチウオの煮付けですね」
橙利くんと生活するなか、大久保は家族揃って暮らしていたとき以上に妻、莉瑛さんへの感謝の気持ちが大きくなったともいう。たとえば著書のなかでも、莉瑛さんが用意してくれたバスタオルについて、大久保が「えっ!こんなの使っていいの?」と答える様子が書かれていた。
「いままでバスタオルは、1回使ったら何も考えずにポイって洗濯カゴに入れていました。でも、いざ自分で洗濯するようになったら、あんなかさばるやつを1回使っただけで洗うなんて……めっちゃ大変じゃないですか。だから、いまは1回使ってもちゃんと広げて乾かすようにしているし、神奈川に帰ったときも1回じゃ絶対にポイできなくなりましたね(笑)」
ただ、大久保の“主夫”としての奮闘ぶりがフォーカスされることは、チームメートからは不評だったとも話す。
「それはそうでしょ。オレがやっていると、みんな奥さんに言われたら言い返せないですから(笑)。ただ、普通のサラリーマンだってみんなやっていると思うし、サッカー選手はじつは自由な時間は多い。やろうと思えば全然できるし、オレでもできたんですから。みんなできますよ」
これまでまったく料理をしてこなかった大久保。橙利くんとの“単身赴任生活”を通じて、いまでは自慢の一品が太刀魚(タチウオ)の煮付けになった、というから驚きだ。
「太刀魚ってめちゃくちゃ骨があるんですけど、その取り方ももうバッチリ。そこは自信を持って言えます。東京では珍しいかもしれないですが、九州というか、大久保家では子どもの頃から太刀魚はよく煮魚にして食べていました。また家族で生活するようになったら、作ってみんなで食べたいですね」
ピッチでの荒々しい姿とは対照的だが、本来は子煩悩で家族想い。それも紛れもない大久保嘉人の一面なのである。<#3へ続く>