「汚いプレーヤーでした」J1最多イエロー104枚、大久保嘉人39歳が最後に語る“引退まで191ゴールのウラ側”「日本サッカーはキレイになった」

「（もらったイエローカードはJ1歴代最多の104枚で）まあ、ダントツ多いでしょ。それで、自分でもよくやってきたなと思います。もし結果が出ていなかったら、すぐにクビになっていただろうし。イエローカードの累積（出場停止）などがなければ、200ゴールも簡単にいってたでしょうね。けど、別に後悔もないし、それが大久保嘉人ですから」

　J1通算最多の191ゴール。3年連続でのJ1得点王（13～15年）。大久保はストライカーとして、成し遂げるのが困難に思われたいくつもの記録を作り続けてきた。

「汚いプレーヤーでした」

　汚いプレーヤーでした――。大久保は引退会見で自らをそう称した。もちろん汚いのはサッカーをやっているときだけ。普段は心優しい男だというのはこのインタビューの前編、中編からも明らかである。

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　ピッチに入ると凄みのきいた形相で相手選手と対峙し、若手時代から先輩の選手にも一切の遠慮はなかった。味方にも躊躇はせず、チャンスとみれば「オレにパスを出せ」と激しく要求し、パスが出てこなければ「なんで出さないんだ」と叱咤した。判定に不満があれば、審判にだって容赦はしなかった。それらは決して褒められた行為とはいえないかもしれない。ただ、そんなむき出しのスタイルで、常にピッチに立ってきたからこそ大久保は多くのゴールを挙げることができたのだ。

©Katsuyuki Masuda（SIGNO）

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「プレースタイルは人それぞれ。なかには、内に秘めるタイプもいますし。ただ、オレはそうやって感情を出さないと無理でしたし、FWはそれでいいかなって。スペインやドイツに行ったときは、オレみたいな選手が普通だった。日本人は周りを気にしたり、恥ずかしい気持ちというのがどこかにあって自分を出せないんですかね。オレは何を言われようがプロになった以上、自分でやるしかないって気持ちの方が強かったから。何か言う人がいたとしても、その人がオレの生活の面倒を見てくれるわけじゃないしね」

「大久保は1人居残りでシュート練習に励んでいた」

　1135本。大久保はゴール数だけでなく、J1で放ったシュート数も歴代最多を誇る。貪欲にゴールをねらい続けた結果だが、ただ闇雲にシュートを放っていたわけではないとも強調する。

2001年のJリーグ第5節磐田戦でリーグ戦初得点。この試合ではその後、レッドカードで退場処分に　©J.LEAGUE

「ただ打つのはあまり好きじゃなかった。10本打ったら1本は入るだろうみたいな考え方ではなく、チームのことを考えて、数よりも確率を求めていました。そのために人よりも多くシュート練習をしてきた。自分に自信がないとシュートはやっぱり打てないし、オレに出したら点が取れる、チームが勝てるという思いで常に打っていましたね」

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