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[第3戦 KEYMAN]石山泰稚「シーソーゲームの救世主」

posted2021/12/03 07:06

 
[第3戦 KEYMAN]石山泰稚「シーソーゲームの救世主」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Nanae Suzuki

 1年分の思いがこもっている。

 7回に1点を勝ち越され、なお2死満塁という場面で石山泰稚はマウンドに送り出された。打席に立つのはシーズン中の代打成功率4割2分9厘というオリックスの切り札、アダム・ジョーンズである。

「満塁だったのでとりあえずあの打者をどう三振にとるか、打ちとるかということだけを考えていきました」

 修羅場はずっと経験してきた。土壇場でどういうピッチングをすればいいのかは、去年までやってきた守護神の経験が教えてくれる。

「腕を振ることだけを考えて投げた」

 余計なことは考えない。開き直って思い切り腕を振るだけだ。そうして3球目にはこの日、最速の153kmのストレートで見逃しストライク。カウント1ボール2ストライクから、最後は真ん中に落ちるフォークで空振り三振を奪った。

 昨オフには国内フリーエージェントの権利を行使せずに残留。4年契約を結び直して、新たなスタートを誓った2021年だったが、思わぬ試練が待っていた。身体にキレをつけるためにオフに体重を落として臨んだが、それが逆効果でボールが走らなくなった。開幕から150km台を誇った真っ直ぐの球速も140km台に落ち、取り戻そうともがく間にスランプの沼に嵌まった。

 5月にはスコット・マクガフに守護神の座を譲り、6月には二軍落ちも経験した。

「投げるたびに打たれるので、何をしていいのかわからなくなっていた」

 こう振り返った迷宮はシーズン後半まで続いていたが、フォームを再チェックしトレーニング方法を変えて復活への道を探った。そうして巨人とのクライマックスシリーズ、ファイナルステージでは第3戦に中継ぎ登板して1回で2三振を奪う力投。そこを監督の高津臣吾は見逃さなかった。

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