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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「出発当日になってもeビザが…」「え、あっけなく空港から出られた」コロナ時代のW杯予選アウェイ取材記《オマーン編》
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio/JFA
posted2021/12/02 17:02
1-0で勝利したオマーン戦。取材者は現地での試合にたどり着くまで、どんなことが起きていたのか
オマーンサッカー協会への取材申請は日本協会がまとめて進めてくれるため、こちらは必要書類を提出するのみ。張り切って渡航の準備を進めていく。
オマーンのホテルを予約した。フランクフルト経由マスカット行きの航空券も押さえた。「鼻咽頭ぬぐい法」によるPCR検査を実施し、英文証明書を出してくれる病院への予約も入れた。さらに、日本帰国時に必要となる誓約書と検査証明のフォーマットなども入手した。
出発日が迫る中で起きた“大きな問題”とは
だが、ここで大きな問題にぶつかった。
日本サッカー協会の案内に従ってeビザの取得を進めたが、いつまで待っても申請が通らない。
代表チームの広報担当者がオマーンサッカー協会に確認してくれたものの、「待っていればApproveの通知が来る」というばかりで、進展がないという。
そうこうしているうちに出発日が、刻一刻と迫ってくる。
Mさんが在日オマーン大使館に確認したが、「我々が推奨しているのとは異なるビザの取得方法なので分からない」との返答。ワクチン接種証明書とPCR検査陰性証明書を指定のサイトにアップロードしなければならないことを教わり、慌てて手続きを済ませた。
出発前日の11月11日は、ベトナム戦だった。この日の昼間にPCR検査を受けると、ベトナム戦のキックオフ時間である21時少し前に、メールで陰性証明書が無事、届いた。
出発当日になってもeビザが届かない
そして、日本代表も無事、1-0でベトナムを下した。
しかし、eビザ問題も無事、とはならなかった。
翌12日、出発当日になってもeビザの承認は届かなかったのである。
「出発までにビザの通知が来なかったとしても予定通り渡航いただき、ビザが届いていない場合はアライバルにて入国をお願いします」
代表チームの広報担当者から送られてきたメールには、こんな文言が記されていた。その言葉を信じるしかない。
フランクフルトまで12時間。4時間半のトランジットを経てマスカットまで6時間。合計約22時間半の長旅がさほど苦ではなかったのは、フランクフルトまでの便が空いていて、横3席を独占して寝転がれたからだった。
マスカットへの便は意外にも混んでいたが、映画を見ているうちに飛行機は現地時間の11月13日19時半にマスカット国際空港に着陸した。
オマーンを訪れるのは、これが3回目。最初は12年11月、ザックジャパンのブラジルW杯アジア最終予選だった。会場は今回と同じスルタン・カブース・スポーツコンプレックス。キックオフ時間が15時30分で、とにかく暑かったのを覚えている。