ゴルフPRESSBACK NUMBER
稲見萌寧はなぜ22歳で“賞金女王”になれた? 上田桃子を思い出すギラギラとした向上心「最強のプロゴルファーになれるように」
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byYoshimasa Nakano/Getty Images
posted2021/11/30 11:02
最終戦は9位タイに終わったものの、歴代2番目の若さで賞金女王となった稲見萌寧。東京五輪でもメダルを獲得するなど、大きく飛躍したシーズンとなった
余談だが、彼女が“持っている”と思ったのが、10月の「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」の最終日に腰痛で棄権し、翌週の「樋口久子 三菱電機レディス」を欠場したあとだった。
「賞金女王はしょうがないと諦めた」と語るほどの痛みだったが、その後に出場した「TOTO ジャパンクラシック」で2位に入り、次の「伊藤園レディス」で優勝するところ、やはり並みの選手ではないと感じたものだった。
意外性や驚きを与えるという意味では、スター選手に必要な要素も持ち合わせているのではないだろうか。将来的に描いている目標も目先のことにとらわれていないのが、大物ぶりを感じさせる。
「まだどれも完璧ではないので、すべて完璧を目指してもっと最強のプロゴルファーになれるようにすべてを極めていきたいと思います」
彼女の言葉のトーンが、ある選手と重なった。誰かと考えていたら、思い浮かんだのはかつて女子ツアーで“ギラついていた”若かりし頃の元賞金女王・上田桃子だ。今年35歳の上田は今も「もっとうまくなりたい」とゴルフの魅力に取りつかれている。現に今季は賞金ランキング10位と衰えを知らない。そういう意味では、稲見は若手の中では珍しくギラギラしたものを感じるし、上田に似て“向上心の塊”だと感じる。
今後の抱負についても「一番の目標は永久シード(通算30勝)です」と断言している。賞金女王のタイトルも通過点に過ぎない。稲見は本気だ。