欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
超ポジティブな浅野拓磨も「緊張する」と語るアジア最終予選の緊迫感 ハイレベルなドイツで追求する日本代表に必要なプレーとは?
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/11/30 17:01
日本代表に不可欠な存在となりつつある浅野拓磨。スピードスターが指摘するこれまでの最終予選の戦いぶりと日本に足りない要素とは?
代表帰りでフル出場。監督からの揺るぎない信頼
浅野も同じようなことを口にしていた。どうしたらもっと相手に嫌がられるプレーができるのか。守りにくい動きをすることができるのか。
「今日の試合(レバークーゼン戦)でも、足下で受けたあとに仕掛けられる場面、自分の間合いで攻撃できるシーンがありました。だけど、もっともっと危ないプレーを、相手に恐がられるプレーを増やしていけたらと思います。特に、スペースで受けてシュートまで持って行きたい。受け手も出し手も、失敗してもいいから」
レバークーゼン戦で、浅野は攻撃の起点として貴重な働きをしていた。ワンフェイクで相手の逆を取り、スペースへ一気に走りこむ。ロングボールを収めてドリブルで仕掛ける。カウンターでボールを受け、ドリブルで運びながらタイミングのいいスルーパスで味方のチャンスを演出する。さらに、自身もゴール前のこぼれ球に反応してシュートするなど、キレのある動きを随所に披露していた。
何より、代表から戻ってすぐの試合でフル出場。それは監督の信頼の証である。
「監督は、間違いなく信頼してくれています。だからこそ、やっぱり結果が必要なんです。負けたら意味がないとまでは言わないけど、残るものは少ない。だからチームのために、監督のために貢献したいなと思っています」
ドイツのレベルは高いがやれる自信はある
2年ぶりとなるブンデスリーガのレベルは高い。スピードが武器の浅野でさえ、単純なスピード勝負で勝てないこともある。周りも同じくらい、あるいはそれ以上に速いのだ。
「今日も、何回も止められるほど周りも速い。戻ってきて、レベルの高さを感じています。以前は自分がまだまだ未熟だから過剰に感じるのかと思っていましたが、やっぱりドイツのレベルは高い。2年間やっていたセルビアとは違います。それでも、やれるって自信はあります。あとは結果だけ、っていうところまで来ているとは思います。だからゴールが欲しいですね。1点決めれば、また見える景色が変わると思うので」
昇格組のボーフムの戦力は、決してトップレベルではない。チャンスひとつを作るのも簡単ではない。そんな状況でも、浅野は観衆が期待を胸に立ち上がり、拳を握って声援を送ってくれるだけのプレーを見せている。
もうひとつ上のステージまで辿り着き、そして、日本代表の助けとなるために。浅野は今日も、ポジティブにサッカーと向き合っている。