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超ポジティブな浅野拓磨も「緊張する」と語るアジア最終予選の緊迫感 ハイレベルなドイツで追求する日本代表に必要なプレーとは?
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/11/30 17:01
日本代表に不可欠な存在となりつつある浅野拓磨。スピードスターが指摘するこれまでの最終予選の戦いぶりと日本に足りない要素とは?
良い準備をすることにすべてをかける
圧し潰されそうな雰囲気のなかで、毎試合、異なる状況で戦いに臨む。試合が終われば立ち位置が変わる。所属クラブでの活動と並行しているだけに、普段のパフォーマンスやコンディションとの兼ね合いも出てくる。
常に100%の力を出すのが目標とはいえ、そのための準備ができないのが、試合数が多い今のサッカー界の現状だ。選手たちはみな試合に向けて、フィジカル、メンタル、思考の準備をどう整えていくかが問われている。
「本当に、その試合その試合で状況が全然異なります。オーストラリア戦、ベトナム戦、オマーン戦と、まったく同じメンタリティとコンディションで挑めるなんてことはない。たぶん、同じ状態で試合に臨めることなんて一生ないと思います。そういった状況のなか、いかに自分を奮い立たせて試合に持っていけるか。そこが面白い部分でもありますけど、良いプレーをするために、いかに良い準備をするかにかかっているんです。試合が始まるまでに、いかに準備できるか。そこに全員がかけている感じがあります。だから、代表で戦えるようにするために、こっち(所属クラブ)で頑張るしかないんです」
長谷部が指摘する「裏を狙う動き」
以前、長谷部誠がアジア予選での戦いについて語っていたことを思い出した。対戦する相手は日本代表を徹底して研究してくる。日本の長所を消すための守り方、カウンターの仕掛け方、セットプレーの使い方を入念に練ってくる。
「アジア予選は引いてくる相手が多い。チーム全体がしっかり連動して、日本のスペースを消してくるし、細かい部分を詰めた戦い方をしてくる。そこへの対応も重要なんです。大事なのは、やっぱり裏を狙う動きじゃないですかね。足下ばかりになると、どうしても守備側としては狙いやすくなる。ブンデスリーガでもトーマス・ミュラーのような選手に裏を狙われると恐さがあります。あとは、サイド(の使い方)じゃないですか」
振り返ると、ベトナム戦もオマーン戦もパスは回った。しかし、各駅停車のような横パスばかり。相手守備をかいくぐってゴールに迫る頻度はかなり少なかった。そこは前線の選手の動きとポジショニングとの兼ね合いもあるが、確実なパスばかりでは前線の動きは停滞する。もちろん前線の選手としては、パスが来ようが来まいが、確信をもってスペースに走り込み、相手DFを混乱させる危険な動きがあっていい。