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《流行語のウラ側》『真夏の大冒険』フジテレビ倉田大誠アナ39歳が明かす「じつは『13歳の冒険がはじまります』と言う予定でした」 

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鼠入昌史

鼠入昌史Masashi Soiri

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photograph byYuki Suenaga

posted2021/12/02 11:06

《流行語のウラ側》『真夏の大冒険』フジテレビ倉田大誠アナ39歳が明かす「じつは『13歳の冒険がはじまります』と言う予定でした」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

東京五輪でスケボー・ストリートを実況したフジテレビ倉田大誠アナウンサー。「13歳、真夏の大冒険」が流行語にノミネートされた

倉田 それも実況のひな形がないですからね。本当に悩んだところは、技の名前をぼくが言うべきなのかどうか。フィギュアスケートでしたら「トリプルアクセル」「トリプルトゥループ」など、解説の方が言いますよね。でも、たとえば柔道だったら「大内刈り!」「大外刈り!」と実況が言うのです。ではスケボーではどうしようか、と。結論から言うと、最終的に技の名前は瀬尻さんにお任せしました。任せたというか、難しすぎてぼくには言えなかったんですけどね(笑)。ぼくもあやふやだし言い切ることはできないので、「そこは瀬尻さん、お願いします」と。ただ、瀬尻さんが技を言ったら回転が手前なのか奥なのか、270度なのか180度なのか、グーフィーなのかレギュラーなのか……そういうことはぼくがすぐに言うようにします、と。そんな役割分担をして実況に臨みましたね。

――その結果生まれたのが、瀬尻さんと倉田アナの絶妙な掛け合いだったということですね。瀬尻さんの解説も独特だということで話題になりましたが、最初の印象はどうだったんですか。

倉田 瀬尻さんには事前にフジテレビに来てもらって、過去の世界選手権の映像などを見ながら何度も練習しました。最初は……びっくりしましたね(笑)。お互い話をしていく中で、瀬尻さんに「どうっすか、オレ?」って聞かれたんです。そこで、「解説では『どうっすか』というのは『どうですか?』のほうがいいし、『いいっすね』も『いいですね』のほうがいいかもしれませんね」と伝えました。すると瀬尻さんは「でもオレ、それを意識しちゃうと喋れないっすよね」と。「ですよね」となって、もうそのまま行きましょうとなりました。

NHKで自分の声が流れて「貴重すぎる」

――そのおかげで、視聴者の印象に残る中継になりました。スケボー・ストリートが放送されたのは男女とも予選がNHK・Eテレ、決勝が総合。NHKでご自身の声が流れるというのはいかがでしたか。

倉田 東京オリンピックはジャパンコンソーシアム(JC)という、各局のアナウンサーやスタッフが集まって中継映像を制作する仕組みですが、スケボーを担当したディレクターはテレビ朝日の方でした。だから瀬尻さんも含めて、スタッフみんな「はじめまして」のところから準備しました。

 NHKで自分の声が流れたのは、うれしいとかうれしくないとかはないのですが、こんな機会はないですからね。貴重すぎることだと思いました(笑)。

スケボーは選手たちの情報も全然なくて…

――一般的にスポーツ中継、とくにオリンピックとなると、事前に出場選手の取材をするかと思うのですが、今回はどうだったのでしょうか。

倉田 それは難しかったですね。取り決めは特になかったのですが、(コロナ禍で)取材には行けないよね、という空気がありました。

――そうなると、選手の情報はどうやって……。

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