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「空の彼方に最後の軌跡!コントレイル!」が話題に…フジテレビ倉田大誠アナに聞く“競馬と春高バレーの実況はここが難しい”
posted2021/12/02 11:07
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph by
Yuki Suenaga
「オリンピックも緊張したが、競馬のGⅠはただならぬ緊張がある」というほど、競馬はスポーツ実況の中でもやや特殊なジャンルだとか。どのような準備を重ねて競馬やバレーボールの実況に臨んでいるのか、話してもらった。(全2回の2回目/前編へ)。
――一般的なスポーツ中継の場合、競技の最初から最後まで実況アナウンサーが喋り続けますが、競馬の場合はレースが行われている数分間だけ。それもレース中すべての馬の名前をきちんと呼ぶし、ほかのスポーツ実況とはちょっと違うのかなと感じます。
倉田 確かに特殊ですね(笑)。難しいですねえ、競馬は。言葉をどうやって紡ぎ出すか、あとは正確性も求められる。その短い時間で18頭なら18頭すべての馬の名前を間違えずに言わないといけないですし。
――準備はどのように?
倉田 競馬は色を塗るんですね。枠順が出たら馬の名前や騎手などの情報といっしょに勝負服に色を塗って、区別ができるようにしています(※写真)。本番は双眼鏡を持っていって、モニターを見て双眼鏡を見て、資料ももとにして……といういちばんシンプルなやり方をしています。
――その資料にはどのような情報をまとめているのでしょうか。勝った馬に対してどんなコメントをするか、とか。
倉田 どの馬が勝つかわからないですからね。たとえばぼくが実況した今年の安田記念(6月6日)。1番人気はグランアレグリアで勝ったのはダノンキングリー。ダノンキングリーは8番人気でした。ほかにもトーラスジェミニ(13番人気)とかカデナ(14番人気)とか、あまり人気のない馬もいるわけです。でも人気がないからといって当然勝たないわけじゃない。
先日のエリザベス女王杯(11月14日)で10番人気のアカイイトが勝ったようなことがあるんです。となると、人気薄の馬であっても血統から厩舎、生産者……調教師はいつ以来のGⅠ勝利になるのか、ジョッキーとはどのような関係なのかなど、とうぜん調べておかないといけません。もちろん18頭いたら18頭すべてです。
「運命のアカイイト!」はスゴかった
――その情報はどのようにして集めるのでしょう?