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クサらない南野拓実に「タキは模範的」「夢のような選手」 CLで悔しい不発もリバプール主将とクロップがフォローする理由
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byMatthew Ashton/Getty Images
posted2021/11/27 17:03
3トップの全ポジション、インサイドハーフをこなせる南野拓実の価値は高い。だからこそ名門リバプールで結果が欲しいと本人は考えているはずだ
マネのシュートが相手に当たってコースが変わると、ボールは南野の足元へ。右足であわせてネットを揺らしたが、オフサイドの判定で認められなかった。
試合全体を通して、南野はこうした相手DFラインの背後へ抜ける動きを何度も見せた。これまでCFで出場したときはゼロトップのように中盤深い位置まで下りてくることが多かったが、この試合ではその回数が少なかった。通常より前線の高い位置に留まるシーンが多かったのは、やはり結果を残したかったからだろう。
だがチャンスに絡む回数は少なく、大きな見せ場のないまま試合終了のホイッスルを聞いた。
「忙しく走り回った」で7点の高評価をつける現地紙も
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守備やプレスといったチームの仕事をこなしつつ、いかに危険な動きでゴールやアシストにつなげるか。特にゴールを挙げることが、南野にとって最重要テーマだったはずだ。
南野にとって難しかったのは、ゴール前で効果的なラストパスがほとんど入らなかったことだ。
チームの2点目も、南野がペナルティエリア中央でフリーになっていたが、決定力抜群のサラーは迷うことなくシュートを選択。南野と同じようにアピールが必要な状況にあるディボク・オリジは、後半途中から出場すると強引なドリブル突破を選び、敵に簡単にボールを奪われていた。
南野はワンツーや飛び出しなど「周囲との連携」で切り崩すプレーを得意とするだけに、このような状況になるとチャンスに絡みづらい。相手からすれば、南野に怖さを感じたシーンはあまりなかったのではないか。
その一方で、守備タスクはきっちりこなした。プレスの急先鋒として走り、敵を深い位置まで追いかける場面もあった。英紙インディペンデントが「忙しく走り回った」として「7点」の高い数字を与えたのは、こうした守備と献身的な動きを評価したからだろう。
だが、CFとして危険なプレーでゴールに迫ったかと問われると、低い評価にならざるを得ない。英サッカーサイトの90minが4点の低評価をつけ「リバプールでプレーするには明らかに十分でない」と断じたのは、アタッカーとして物足りなかったからに他ならない。
豊富な運動量を武器に、積極的な守備は見せた。しかし、ストライカーとしてはインパクトが十分でなかった──。英メディアの評価が割れた理由は、このあたりにありそうだ。
主将ヘンダーソンが南野について触れた手記とは
ポルト戦の観戦プログラムを眺めていると、ヘンダーソンが南野について記した手記が目に止まった。途中出場から48秒でゴールを決めたアーセナル戦のプレーに触れながら、日本代表FWの練習姿勢を褒め称えていた。31歳のチームキャプテンは語る。