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森保ジャパンの代表招集「28人は多すぎ」問題 ベンチにも入れない選手がいてはプライドもモチベーションも…
posted2021/11/28 11:02
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
JFA/AFLO
数字の「28」は完全数だという。
完全数とは、その数を除く約数の和に等しくなる自然数のこと。「28」の約数である1、2、4、7、14を足せばすなわち28になる。そんな数いっぱいあるでしょと思いきや、4ケタ以内だと「6」「28」「496」「8128」の4個しかないとか。古代ギリシャの数学者ピタゴラスが名づけたとされている。
「デカルトは『完全な人間が滅多にいないように完全な数もまた稀』だと言っている。この数千年の間に見つかった完全数の数は30個にも満たないんだよ。完全数“28”は阪神タイガースのエース、江夏豊の背番号なんだ。僕の頭のなかにはね、1967年、新人の江夏が10三振を奪ってカープからプロ入り初勝利を挙げた試合だって、1973年に自らサヨナラホームランを打って延長戦のノーヒットノーランを達成した8月30日の試合だって事細かく刻み込まれているんだからね」
クリスティアーノ・ロナウドも「28」でデビュー
これは小川洋子の小説を映画化した「博士の愛した数式」(2006年公開)で、交通事故によって脳にダメージを受けたことで記憶を80分しか持続できない数学者で元大学教授の「博士」が、心を通わせる家政婦、そして「√(ルート)」と呼ぶタイガースファンのその息子に語った言葉である。
完全数「28」と江夏の完全なピッチングがシンクロして、博士の「28LOVE」が伝わってくる。神秘なる、完全なるものとの出会いに胸を躍らせるのかもしれない。
録画していたこの映画を観ながら、「28」を背負った選手たちを思い起こした。江夏、新浦壽夫、星野伸之とサウスポーの香りが漂う。サッカーだと先日、引退を発表した玉田圭司の出世番号として知られる。海外サッカーに目を移せば、あのクリスティアーノ・ロナウドもプロデビューしたスポルティング時代は「28」だった。
あれ、待てよ、と思った。