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《打点王》石井一久監督と約束した推定100万円(!?)の“スニーカー”よりも⋯楽天・島内宏明が明かす長打増加の“本当の理由”

posted2021/12/01 11:03

 
《打点王》石井一久監督と約束した推定100万円(!?)の“スニーカー”よりも⋯楽天・島内宏明が明かす長打増加の“本当の理由”<Number Web> photograph by KYODO

今季打点王を獲得した楽天・島内宏明。打点量産の背景に、打席での「形」があった

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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KYODO

 背後に圧力を感じる。

 楽天の島内宏明がそれをプレッシャーだと受け入れたのは、レギュラーシーズンが残り3試合となってからだった。

 140試合を戦った時点で96打点。パ・リーグトップを保持していたものの、ロッテのブランドン・レアードに、真後ろからチャージをかけられていた。

“副賞”は推定100万円(!?)のスニーカー

 島内は結局、3試合で打点を挙げられずにシーズンが終了した。レアードとは2打点差。しかも、ロッテは2試合を残しており逆転される危険性はあったが、最終的にわずか1打点差で逃げ切れた。

「スニーカーがかかっていたんで、そこは必死に(笑)」

 楽天の生え抜きとして初の打点王となった男がおちゃらける。

 タイトルが現実味を帯びてきた頃、打点王を獲れば石井一久GM兼監督から、ナイキとディオールがコラボレーションした、価格が100万円とも言われる高級スニーカーのプレゼントを約束されていた。“副賞”のモチベーションもあったが、島内を駆り立てたのはやはり、プロとしての意地だった。

「さすがに獲れるとは思っていなかったんですけど、タイトル争いはなかなかできない経験なんで。追われているなか、プレッシャーがあるなか戦えたっていうのは、自分のなかでは非常によかったなって思いますけど」

 島内の勝負強さは今季に始まったことではなかった。

「『繋ごう』っていうより『還そう』って強く思うようにした」

 レギュラーとなった2016年以降、得点圏打率の3割越えは4回。今季もパ・リーグ2位の3割2分8厘をマークした。これまでの自己最多だった19年の57打点をはるかに上回れた大きな理由として、チャンスで打席が巡ってくる確率が高い4番バッターに固定されるようになったことも挙げられる。

 さらに、リーグ1位の101四球を選んだ3番の浅村栄斗に次ぐ、97四球を記録できた点も、島内は打点王の一因としている。

【次ページ】 場面によって変幻自在の“打撃フォーム”

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