熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
《Jユースではなくブラジル》三都主の育成クラブに日本人16歳点取り屋が!「三都主さんの長男とチームメートで親友です」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byASB
posted2021/11/24 17:04
16歳の杉浦響君。ブラジルの地からプロを目指す
響「ブラジルでプロになりたい。FIFAの規約で、今は外国では18歳にならないとプロとしてプレーできないので、18歳になったらすぐにプロ契約してもらえるように。将来は欧州でプレーして、日本代表にも選ばれたい」
10代半ばにして両国のスタイルの違いを意識している
10代半ばにして、すでに日本とブラジルのプレースタイルの違いを明確に意識しているのは大したもの。それは、これまでの海外での経験があるからだろう。
日本のフットボール少年なら誰もが羨むような、極めて恵まれた環境にいるのではないか。のみならず、かつてボールを蹴った者で、今の彼の境遇が羨ましくて仕方がない人も多いに違いない(筆者もその一人だ)。
とはいえ、ここからがプロになるための最も重要な段階。そして、実はプロになってからが本当の戦いだ。
三都主アレサンドロは、ブラジル南部マリンガで生まれ育ち、16歳で日本へ渡り、高知の高校を卒業し、プロ選手になる夢を叶えた。一方、杉浦響君は、16歳になる直前に三都主とは反対のルートでマリンガへやってきて、三都主が立ち上げたクラブで修行を積んでいる。そして、三都主が日本へ渡ったのと同じ年齢に達した彼の長男が、チームメイトにして親友だ。
フットボールを媒介として、地球の反対側に位置する日本とブラジルが、ここでも数奇な縁で結ばれている。
ブラジルでプロを目指して奮闘する杉浦響君を、引き続き見守りたい。
<第1回、第2回へ>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。