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大谷翔平は重度の心臓病と闘う“翔平ちゃん”を抱きしめた「あったかいね」…19日後、寄付金は3億5千万円に到達した 

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川崎静葉

川崎静葉Shizuha Kawasaki

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photograph byShizuha & Taishi Kawasaki

posted2021/11/24 11:01

大谷翔平は重度の心臓病と闘う“翔平ちゃん”を抱きしめた「あったかいね」…19日後、寄付金は3億5千万円に到達した<Number Web> photograph by Shizuha & Taishi Kawasaki

2019年1月、心臓移植手術を待つ川崎翔平ちゃん(中央)を励まそうと大阪府内の病院を訪れた大谷。面会の時間は1時間近くに及んだ

大谷選手との対面が本人の生きる活力になる

 大谷選手にパワーをわけてもらえるんじゃないか、そう思ったのです。

 翔平は心臓移植手術がうまく成功したとしても、それで終わりではありません。拒絶反応が起こらないように、免疫抑制剤を飲み続けなければいけないでしょうし、健康な子となんでも同じことができるようになるわけではないのです。

 翔平が理解できるような年齢になったときに、

「あなたのために、素晴らしい選手がお見舞いに来てくれて、抱いてくれたんだよ。本当にすごいことなんだよ」

 そう言ってあげたかったのです。

 これからもつらいことは続くでしょうが、大谷選手との対面が本人の生きる活力になるのではないかとも思いました。

 私たちの思いが伝わったのかどうかはわかりません。でも大谷選手は、

「えっ、僕が抱っこしてもいいんですか?」

 と、快諾してくださいました。

抱っこした大谷は「あったかいね……」

 翔平には点滴のチューブやベルリンハートの管などがつながっています。大谷選手は少し戸惑った様子でしたが、看護師さんがサポートをしてくれて、翔平を抱きしめてくれたのです。

「あったかいね……」

 そんな優しい言葉を聞いて息子も大谷選手の顔をしっかり見つめています。2人の姿に、私たちの胸のなかにもあたたかいものが、ふんわりと広がっていくようでした。

 翔平はそれほど人見知りではありませんが、誰でも大丈夫というわけでもありません。人によっては、抱かれると泣いたり、顔を見るとプイッと横を向いたりすることもあるのです。

【次ページ】 10月に右ひじの手術を受けたばかりだったが……

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