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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平は重度の心臓病と闘う“翔平ちゃん”を抱きしめた「あったかいね」…19日後、寄付金は3億5千万円に到達した
text by
川崎静葉Shizuha Kawasaki
photograph byShizuha & Taishi Kawasaki
posted2021/11/24 11:01
2019年1月、心臓移植手術を待つ川崎翔平ちゃん(中央)を励まそうと大阪府内の病院を訪れた大谷。面会の時間は1時間近くに及んだ
10月に右ひじの手術を受けたばかりだったが……
でも大谷選手の腕のなかは、よほど居心地が良かったようです。嫌がる様子もなく、反り返ったりすることもなく、ごきげんにじっと抱かれていました。
そういえば大谷選手は、10月に右ひじの手術を受けたばかりだったのです。あまり抱っこが長くなったもので、通訳の水原一平さんが「ちょっと、そろそろ……」と、声をかけ、私たちも「もう十分ですから」と、申し上げたのですが、大谷選手は、
「大丈夫、大丈夫」
そう微笑んで、翔平をずっとひざに乗せ続けてくれました。
翔平は思いがけないプレゼントをもらいました。大谷選手のサインボールです。
取材に来ていた記者さんやカメラマンさんが解散する直前、大谷選手は、
「あっ、ボールを持ってきたんです」
と、《翔平くんへ》という名前とサインを書いて、あの大きな手で翔平の手にちょこんと乗せてくれたのです。
「おおっ、キャッチボールだ」というどよめきが
そのボールは、翔平にとってはとても大きく感じたことでしょう。それに革の感触もにおいも初めてのものです。
しばらく興味深そうに真っ白なボールをさわっていました。
そんな翔平の手のそばに、大谷選手が「ちょうだい」というように片手をさしのべてくれました。
すると、本当にそのタイミングを待っていたかのように、翔平がぽいっとボールを手放したのです。
大谷選手がしっかりと受け止めてくれたとき、部屋のなかで、
「おおっ、キャッチボールだ」
そんなどよめきが起こりました。大谷選手も驚いていましたが、
「野球しよっか!」
こぼれるような笑顔を見せてくださいました。