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《単独インタビュー》DeNA牧秀悟は“鮮烈な1年目”をどう振り返る? 打率.314&“長嶋茂雄超え”も「目の前で優勝されたことのほうが悔しくて」 

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菊地高弘

菊地高弘Takahiro Kikuchi

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/11/23 11:06

《単独インタビュー》DeNA牧秀悟は“鮮烈な1年目”をどう振り返る? 打率.314&“長嶋茂雄超え”も「目の前で優勝されたことのほうが悔しくて」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

今シーズン、数々の新人記録を打ち立てたDeNA・牧秀悟。写真は62年ぶりに球団新人安打(118本)を更新した時のもの

 そんななか、牧が残した成績は新人ならずとも驚きの数字だった。

 137試合 487打数 153安打 35二塁打 22本塁打 71打点 2盗塁 打率.314

 6月中旬には疲労性の腰痛を発症して、一時期状態を落としたこともあった。9月12日時点では打率.276だったが、そこから4分近くも打率を上げた。シーズン終盤に数字が伸びた理由について、牧は「1年通して試合に出してもらったことで、思い切って打つ場面とじっくり見極める場面を分けて考えられるようになった」と語る。

 最終盤は左ふくらはぎ肉離れで離脱したタイラー・オースティンに代わり、4番打者を務めた。4番として出場した15試合の打率は.517という恐るべき数字だった。

“新人離れ”は数字のみならず…

 4番で活躍できた要因について、牧はこう語っている。

「学生の頃から一番打つことが多かったので。うーん、慣れている……というわけじゃないんですけど、打ちやすい打順なのかなと思います」

 凡人ならば「アマチュアの4番とプロの4番は意味合いがまるで違う」と思ってしまうところだが、牧は「打ちやすい」と言ってしまう。もちろん、その背景には「佐野(恵太)さんや宮﨑(敏郎)さんがいたので」と牧が言うように、頼りになる先輩打者の存在もあった。

 そして、牧は中央大時代からランナーを還すこと、打点の数へのこだわりを口にしていた。その思いはどのカテゴリーに属していても変わらないようだ。

 ただし、今季はシーズン中盤まで打点数が伸び悩んでいた。牧は不満そうな顔で振り返る。

「あの時、一本出ていれば……と悔いが残る場面がいっぱいあります。チャンスで打てばチームが盛り上がるのに、今年は打てない時期が長かったので。もしかしたら、自分がチャンスで打って点が入っていれば、チームが上昇するきっかけになっていたかもしれない。そう考えると、今年の夏場までもったいない場面が多かったです」

 牧は反省の弁を口にするが、その「悔い」の質もまた新人離れしている。

長嶋茂雄の二塁打記録は「抜きたいなと」

 数々の歴代新人記録に牧秀悟の名前は顔を出した。とりわけ「二塁打」に関して次々と新記録を打ち立てた。

 10月26日のヤクルト戦では、長嶋茂雄(元巨人)が1958年に記録した34二塁打のセ・リーグ新人記録を更新する35本目の二塁打を放った。

 牧は長嶋の二塁打記録に迫っていることを認識していたという。

【次ページ】 「目の前で優勝されたことのほうが悔しくて」

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