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《単独インタビュー》DeNA牧秀悟は“鮮烈な1年目”をどう振り返る? 打率.314&“長嶋茂雄超え”も「目の前で優勝されたことのほうが悔しくて」 

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菊地高弘

菊地高弘Takahiro Kikuchi

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/11/23 11:06

《単独インタビュー》DeNA牧秀悟は“鮮烈な1年目”をどう振り返る? 打率.314&“長嶋茂雄超え”も「目の前で優勝されたことのほうが悔しくて」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

今シーズン、数々の新人記録を打ち立てたDeNA・牧秀悟。写真は62年ぶりに球団新人安打(118本)を更新した時のもの

「友人がネットで調べてくれたみたいで、自分に教えてくれたんです。シーズン終了が迫っていましたし、『そういうのがあるんだ。抜きたいな』と思っていました」

 牧にとって長嶋茂雄は、選手時代はおろか監督時代ですら物心がつく前の人物。「昔のプロ野球のテレビ番組に何度も出てくる方」と、もはや歴史上の偉人である。自分が肩を並べるといっても現実感がなかった。

 最後は5打席連続二塁打という、前人未到のNPB新記録で長嶋を一気に抜き去った。これだけ二塁打を連発した要因について、牧は「バッティングの形がよかったから」と分析する。従来の牧は右中間方向に強い打球を打てる点が持ち味だが、この時期は「インコースの球をうまく払って三塁線に飛ばせるようになった」とヒットゾーンが広がっていた。大記録の背景には、技術の向上という確かな裏付けがあったのだ。

「目の前で優勝されたことのほうが悔しくて」

 だが、63年間も動かなかった扉をこじ開けた日であっても、牧は手放しでは喜べなかった。ちょうどこの日、試合に敗れたDeNAは本拠地・横浜スタジアムでヤクルトのリーグ優勝による胴上げを許したのだ。

 甲子園球場で阪神が中日に敗れた瞬間、横浜スタジアムの三塁側ベンチで待機していたヤクルトのメンバーが弾けるように飛び出した。高津臣吾監督が5回宙に舞う姿を、牧はロッカールームのモニターで見ていた。

「記録を達成してうれしい気持ちもあったんですけど、目の前で優勝されたことのほうが悔しくて。いつかは自分たちも、絶対にこうやって優勝の喜びを味わいたいと思いました」

 すでに気持ちは来年に向かっている。秋季キャンプでは「厳しい打球を捕って投手陣を助けたい」と、守備力向上に余念がない。

 来季への準備を進める一方で、12月15日には今季のタイトル受賞者が表彰されるNPBアワーズ2021が開かれる。セ・リーグの新人王は史上稀にみるハイレベルな争いになるはずだ。

 あらためて、牧に「新人王」というタイトルへの思い入れを聞いてみた。

【次ページ】 牧が明かす“新人王への思い”

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