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大谷翔平・満票MVPの今だからこそ 「2カ月連続月間MVP(MLB史上で17人だけ)」も大絶賛されるべき偉業だった
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byGetty Images
posted2021/11/19 17:12
2021年のア・リーグMVPの大谷翔平。2カ月連続月間MVPにも輝いている
大谷は春先に比べると打数が少なくなっている。これは四球が増えているからだ。4月は3四球だったが、5月は13、6月7月は16。大谷の猛打の前に各投手が勝負を避けるようになってきている。これは強打者の宿命だ。
一方で三振数は4月の27から5月は33、6月は27、7月は実に37、通算124三振はリーグ3位、シーズン200三振に手が届く可能性もあるが、これは「ホームランのコスト」と考えるべきだろう。
7月は「投手・大谷」の数字が明らかによくなった
大谷の月間投手成績も見ておこう。PRはリーグ防御率に基づく総合指標。
4月 3試合
1勝0敗13.2回13四死球23振 率3.29 PR1.09 (94)
5月 4試合
0勝1敗22.2回13四死球27振 率2.38 PR4.56 (25)
6月 5試合 月間MVP
2勝0敗23.2回9四死球33振 率4.94 PR-0.52 (168)
7月 3試合 月間MVP
2勝0敗20.0回1四死球17振 率1.35 PR6.76 (7)
打者・大谷翔平は規定打席に到達している一方で、投手・大谷翔平は規定投球回数には達していない。勝利、奪三振など積み上げ型の記録では、リーグでのランクはそれほど上位ではない。また防御率もランク外だが、月間の数字を見ていくと、7月は劇的に数字がよくなっていることが分かる。
ただしPRは(リーグ平均防御率-その選手の防御率)×投球回数÷9で導き出されるが、7月のPR6.76は並み居る規定投球回数以上の選手に混じって7位になっている。リーグ屈指の成績だ。
減った四球、これまでの偉大な選手たちの面々は?
しかも与四球はわずか1。1イニング当たりの奪三振数は減少したが、極めて精度の高い投球だ。7月の大谷翔平はリーグ屈指の好投手だったのだ。
7月の大谷翔平は打者としての成績だけで受賞したが、投手成績を加味すればダントツの評価だったと考えられる。
MLBの月間MVP (the Player of the Month Award) は、野手のなかから毎月両リーグで原則として1名ずつが選出される。2カ月連続のMVPは両リーグでは、16人17回記録されている。その顔ぶれを見ていこう。
なお1973年までは月間MVPはナ・リーグのみで制定されていた。また1974年までは投手、野手の中から1名選出されていたが、1975年からは投手は月間投手MVP (the Pitcher of the Month Award) が別個に制定されている。ア=ア・リーグ、ナ=ナ・リーグである。