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甲子園準V→ヤクルトで進化 奥川恭伸「20歳にして12球団No.1」の才能って?《山本由伸との“マダックス対決”なるか》

posted2021/11/20 06:01

 
甲子園準V→ヤクルトで進化 奥川恭伸「20歳にして12球団No.1」の才能って?《山本由伸との“マダックス対決”なるか》<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

セCSファイナル第1戦で「マダックス」を達成し、笑顔の奥川恭伸

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Kiichi Matsumoto

11月20日、日本シリーズが開幕する。ヤクルトとオリックスの戦力、そしてキーマンとなりそうな奥川恭伸の凄さを数字で迫った記事をお届けします(全2回)

 11月10日のCSファイナルステージ第1戦は、ヤクルトの奥川恭伸が完封で巨人を退けた。要した投球数はわずか98球。100球未満で完封することを「マダックス」と言うが、これは大したことなのだ。

「マダックス」はMLBで355勝した大投手、グレッグ・マダックスがこれを得意とし、13回も記録したことからこう呼ぶようになった。

 9回を投げて100球未満とは、1イニング11球未満と言うことだ。プロ野球では1イニングの投球数が15球を割り込めば優秀と言われる。11球以下で完封するのは極めて難しい。

NPBではここ20シーズンで35回だけだったが

 ここ20シーズン(2002年以降)のNPBでは「マダックス」はレギュラーシーズンでは35回しか記録されていない。極めて珍しい記録だと言える。

 今年のシーズン開幕時点では、2017年4月14日、当時オリックスの金子千尋がソフトバンクを92球で完封したのが最新で、以後4年も記録する投手はいなかった。ところが今シーズンは、マダックスが4回も記録された。さらにポストシーズンでも奥川が記録。思わぬ「マダックス・ラッシュ」となった。

<レギュラーシーズン>
山本由伸(オ)4月28日 楽天戦/96球3安5振1球
早川隆久(楽)5月16日 オリックス戦/98球3安8振2球
小川泰弘(ヤ)5月15日 中日戦/99球3安6振0球
高橋遥人(神)10月2日 中日戦/97球5安7振0球
<CSファイナルステージ>
奥川恭伸(ヤ)11月10日 巨人戦/98球6安9振0球

 いずれも現在のNPBを代表する先発投手だ。

 ちなみに今季は10月13日にロッテの石川歩がオリックス戦で2失点したものの、97球で完投(6安1振0球)した。見方によっては失点して100球以内で完投するほうが難易度が高いのかもしれない。なお2002年以降でいえば「100球以内の完投(失点あり)」は、29回しか記録されていない。

星稜時代からの「超効率投球」がプロ入り後も……

 10月2日に阪神の高橋が「マダックス」を記録したときに、記録マニアの間では「次のマダックス記録者はだれか?」が話題になった。その時に圧倒的に名前が挙がったのが奥川恭伸だった。

 それは、数字から見れば明らかだった。

 今季、両リーグで100イニング以上投げた投手の1イニング当たりの投球数(P/IP)、少ない方からの10傑。

 奥川恭伸(ヤ)14.47(1519球/105回)
 加藤貴之(日)14.62(2193球/150回)
 田中将大(楽)14.85(2311球/155.2回)
 山本由伸(オ)15.03(2911球/193.2回)
 秋山拓巳(神)15.08(2016球/132.2回)
 菅野智之(巨)15.27(1766球/115.2回)
 伊藤将司(神)15.32(2150球/140.1回)
 大野雄大(中)15.33(2197球/143.1回)
 大瀬良大地(広)15.46(2268球/146.2回)
 二木康太(ロ)15.52(1816球/117回)

【次ページ】 100回以上投げた投手では12球団最少の10与四球

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