熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「これはまずい」観衆の半分がマスクなし大声で応援+密集… W杯決定ブラジル戦の会場を撮った《国内コロナ死者61万人》
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2021/11/16 17:02
カタールW杯出場を決めたブラジル代表。現地の応援スタイルはどうなっている?
前半は、0-0のまま終了。場内放送が、観客数が2万2000人だったことを告げた。パンデミックのせいで、ブラジルでも多くの人が失業したり、収入減に苦しんでいる。やはり値段が高すぎて、チケットが余ったのだ。
ネイマールの技巧、パケタのゴールに観衆は喜び爆発
後半、ブラジルは左ウイングのビニシウスを投入。今季、レアル・マドリーで絶好調の若武者だ。厳しいマークをものともせず、驚異的なスピードでサイドをぶち抜く。試合の流れがブラジルへ傾き始めた。
後半27分、ブラジルの攻めをコロンビアのDFがクリア。これをブラジルのCBマルキーニョスが胸でトラップすると、ネイマールの足元へ速いパスを入れる。ネイマールが咄嗟に左足で角度を変えると、これがDF2人の間を通る絶妙のスルーパスとなった。走り込んだMFルーカス・パケタ(リヨン)が、右足で直接シュート。GKオスピナの右手を弾き、ゴールへ飛び込んだ。待ちに待ったゴールに、観衆は喜びを爆発させた。
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ネイマールはドリブラーという印象が強いが、実は極めて優秀なパサーでもある。
右斜め後方からのパスを利き足ではない左足でダイレクトで右斜め前方へ流し、DF2人のわずかな間を抜いたのだ。どうしてこんなことを瞬時に思いつき、なおかつ完璧に実行できるのか――。家へ帰ってからこの場面の録画を繰り返し見たが、どうしても理解できなかった。
パケタにしても、左右からDF2人のチャージを受けており、咄嗟の判断で利き足ではない右足シュートを選択している。
このレベルになると、奇跡のようなプレーを少なくとも2回は続けないと、ゴールを奪うことはできない。
その後、コロンビアはMFハメス・ロドリゲス(アル・ラーヤン=カタール)らを投入したが、ブラジルはボールを保持して攻め続ける。コロンビアに決定機を作らせることなく、1-0で試合を終わらせた。
互いに激しくマークし合ったが、随所に鋭い攻撃も見られ、見応えのある試合だった。
この勝利で、ブラジルはW杯出場を決定。選手たちは笑顔で抱き合い、スタンドに手を振った。地元観衆も、誰もが笑っていた。
16日には、アウェーでアルゼンチンと対戦する。W杯出場を決めたからといって、宿敵相手に無様な試合はできない。好試合が期待できる。
ブラジルにとって、南米予選突破は義務でしかない。目指すのは世界の頂点であり、本当の勝負はこれからだ。
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