熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「これはまずい」観衆の半分がマスクなし大声で応援+密集… W杯決定ブラジル戦の会場を撮った《国内コロナ死者61万人》
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2021/11/16 17:02
カタールW杯出場を決めたブラジル代表。現地の応援スタイルはどうなっている?
南米予選は、参加10カ国が総当たりのホーム&アウェーで対戦し、各々18試合を行なう。上位4カ国がW杯出場権を獲得し、5位は大陸間プレーオフに回る。
試合前の時点で、ブラジルは10勝1分の勝ち点31で、2位アルゼンチンに勝ち点6差をつけて首位。コロンビアは、3勝7分2敗の勝ち点16で5位。この試合でブラジルが勝ち、コロンビアが5位のままなら両国の勝ち点差が18に広がり、コロンビアは残り5試合に全勝してもブラジルを上回ることはないので、ブラジルの22大会連続のW杯出場が決まる。
コロンビアは、スピード豊かで決定力が高いFWルイス・ディアス(ポルト)、大柄で屈強なCBダビンソン・サンチェス(トッテナム)、経験豊富なGKダビド・オスピナ(ナポリ)らを擁するタレント軍団だ。10月10日、ホームでブラジルと引き分け、今予選で唯一の勝ち点を奪っている。面白い試合になるのは確実で、是が非でも見たい。
多少不安だったが「マスク+フェイスシールド」なら
ADVERTISEMENT
例年、僕はサンパウロ州スポーツ記者協会が発行する記者証を取得しており、この記者証を元にしてCBFに申請をすれば、代表戦の取材パスがもらえる。しかし、今年はいつ試合を取材できるか見当がつかなかったので、記者証を取っていなかった。このため、チケットを購入しなければならない。
7月に2度目のワクチン接種を終えており、CBFが発行する「パスポート」を取得する条件は満たしている。しかし、他の観衆がワクチンを接種していたりPCR検査などで陰性であっても、絶対に感染しないとは限らない。多少の不安を覚えたが、「マスクに加え、フェイスシールドを付ければ感染は防げるのではないか」と考えた。
チケットは、今月5日にインターネットで発売が開始された。メインスタンドが800レアル(約1万7000円)、バックスタンドが600レアル(約1万3000円)、ゴール裏が300レアル(約6000円)というブラジルでは強気の値段設定。僕はゴール裏の席を買った。
前日の試合ではほぼ誰もマスクをせず大声で……
試合をスタジアムで観戦するのは、昨年3月、本田圭佑がリオの古豪ボタフォゴに入団した際のデビュー戦(リオ州選手権)を取材して以来で、実に1年8カ月ぶり。しかも、南米予選でも屈指の好カードとあって、胸が踊った。
ただ――試合前夜、不吉な光景を見た。ブラジルリーグの試合をテレビで観戦していたら、スタンドが超満員で、ほとんど誰もマスクをしていない。しかも、大声で声援を送っている。
一瞬、身の毛がよだつ思いをしたが、観戦を諦める気にはなれない。「人混みを避け、それでも近くに人が来そうになったら必ずフェイスシールドをすること」と自分に言い聞かせた。
試合が始まるのは21時半。入場に時間がかかることが予想されたので、スタジアムの最寄り駅に19時に着いた。そして、ゴール裏へ向かうゲートに着いたが、まだ開いていない。小雨が降り出し、気温も下がってきた。周囲に人が増えてきたので、フェイスシールドを装着し、なおかつ列から離れた。