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「これはまずい」観衆の半分がマスクなし大声で応援+密集… W杯決定ブラジル戦の会場を撮った《国内コロナ死者61万人》 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2021/11/16 17:02

「これはまずい」観衆の半分がマスクなし大声で応援+密集… W杯決定ブラジル戦の会場を撮った《国内コロナ死者61万人》<Number Web> photograph by Getty Images

カタールW杯出場を決めたブラジル代表。現地の応援スタイルはどうなっている?

 小一時間もたって、やっとゲートが開いた。その先に最初の関門があり、チケット、CBF発行の「パスポート」、身分証明書を提示。係員が「マスクを付けてくださいよ」と呼びかけていたが、装着を強制はしていなかった。

観衆の約半分はノーマスクだった

 周囲を見回すと、マスクを付けている人が約半分で、25%ほどは顎にマスクを当てており、残りはマスクをしていない。顎にマスクをしても意味がないから、観衆の約半分はノーマスクということになる。

 またしばらく歩くと、ゴール裏の座席へ向かう入口があり、そこでも同様のチェック。ここを抜けると、スタジアム内だ。

 チケットは座席指定ではなく、ゴール裏ならどの席に座ってもいい。ただ、ピッチに近いところは人が多い。人混みを避けるため、通路のすぐ手前の最後尾に座った。

 やがて両チームの選手たちがピッチに入ってきて、ウォーミングアップ。コロンビア選手に対して軽いブーイングが起きるが、強い敵意は感じられない。もしこれがアルゼンチン選手なら、痛烈なブーイングが起きるところだ。

ベトナムvs日本に比べるとレベルが……

 21時、両チームの先発メンバーが発表された。ブラジルは、FWネイマール、CBマルキーニョス(いずれもパリ・サンジェルマン)、MFカゼミーロ(レアル・マドリー)らベストメンバー。やはり、ネイマールへの拍手が一番多い。コロンビアも、ベストの布陣だった。

 21時20分、選手たちが入場し、両国国歌が流れる。新型コロナウイルスの犠牲者への1分間の黙祷の後、試合が始まった。大きな歓声が上がる。

 両チームとも、選手全員が技術があり、ボールを持てる。しっかりボールを繋ぎ、機を見てドリブルやワンツーパスで突破を図る。ほとんどミスがない。パスもクロスも、まるでシュートのように速い。しかし、マーカーが強く体を当て、パスのコースを読んでインターセプトをするので、攻防が入れ替わる……。

 この日の朝、テレビで見たW杯アジア最終予選のベトナム対日本は、パス回しが遅く、トラップやパスのミスが頻発していた。あまりの違いに、眩暈がしそうになった。

周囲が大きな声を上げて「これはまずい」

 試合の序盤は、コロンビアが積極的に攻める。前半7分、コロンビアのMFウィルマー・バリオス(ゼニト)が強烈なミドルシュート。弾丸のような軌道にスタンドから悲鳴が上がったが、ゴールのバーをわずかに超えた。

 29分、この試合を象徴するシーンがあった。ネイマールがゴール前でボールを受けて突破を試みたが、前後左右から4人に囲まれ、そのうちの2人から同時にタックルを受けて倒れる。イエローカードが出て、ブラジルのFK。絶好の位置だったが、ネイマールのシュートは壁に当たった。

 その後も、ネイマールは2人がかり、3人がかりで徹底的にマークされる。

 試合が始まってから徐々に観衆が増え、僕の周囲も密集に近い状態となった。しかも、背後の通路に大勢の人が立ち、大きな声を上げる。「これはまずい」と考え、席を立って通路から見ることにした。

【次ページ】 ネイマールの技巧、パケタのゴールに観衆は喜び爆発

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