酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
12球団最多勝利の阪神(貯金21)が巨人(借金1)に連敗終戦… 《儲かるし盛り上がるCS》だが、納得性は改善できないのか
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2021/11/08 17:01
ロハスJr.が三振に切って取られた瞬間、シーズン77勝を挙げた阪神の2021年は終わった
今季両リーグで858試合の公式戦が行われたが、このうち11.9%に当たる102試合が引き分けだった。最も多かったソフトバンクは21試合(14.7%)、巨人は20試合(14.0%)が引き分けだったが、阪神は最少の10試合(7.0%)だった。現在のルールでは引き分け試合は勝率の計算から除外されるので、阪神は巨人よりも10試合も多く試合をしていたようなものだ。
かつて、これは不公平だということで、引き分けを0.5勝(0.5敗)と計算していたシーズンがある。セは1956年から61年、パは1956年から58年と61年だ。仮にこの方式を今年のセ・リーグ上位3球団に当てはめると以下のようになる。
阪神 143試82勝61敗 率.573
ヤクルト 143試82勝61敗 率.573
巨人 143試71勝72敗 率.497
阪神とヤクルトがピッタリ同じ勝敗だ。NPBの規則では勝率と勝数が同じ場合は、直接の対戦成績が上のチームが1位となる。今季の阪神-ヤクルト戦は阪神の13勝8敗4分だから阪神がリーグ優勝ということになる。巨人はこの計算でも上位2チームから大きく水をあけられている。
もし巨人が日本シリーズに出場したら……
CSは、これまでもとかく議論の対象になってきたが、このまま巨人が日本シリーズに出場することになればCS見直し論が巻き起こる可能性があるだろう。
かつてはMLB、NPBともに各リーグの勝者によって頂上決戦たるワールドシリーズ、日本シリーズが行われてきた。
ポストシーズンはそれだけだったが、MLBではエクスパンションによってア・ナ両リーグが東西2地区に分かれた1969年以降、リーグ優勝決定シリーズが行われるようになった。さらに1994年には東中西の3地区になり、各地区の勝者に加えて各地区2位のうち最も勝率が良いチームが「ワイルドカード」としてポストシーズンに参加、地区優勝決定シリーズが行われるようになった。
さらに2012年からは各地区2位チームのうち勝率1位と2位のチームが1試合だけの「ワイルドカードゲーム」を戦ったのちに地区優勝決定シリーズに参加するようになった。
ポストシーズンが大型化したのは「儲かる」から
なぜポストシーズンがこのように大型化し、複雑になったのか?
端的に言えば「儲かる」からである。