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《追悼》田中将大に「通訳のマウンド帯同を禁止すべき」発言→人種差別批判も…レッドソックス名物解説者が生前に送った日本人投手たちへの“賛辞”
text by
木崎英夫Hideo Kizaki
photograph byGetty Images
posted2021/11/08 11:00
今年のワイルドカードゲーム、レッドソックス対ヤンキース戦の始球式を務めたジェリー・レミー氏
オルティーズら名選手からも追悼の声
「一緒にいて本当に楽しいと思える人でした。放送でこの僕を“ビッグパピ”と呼んでくれてありがとうございます。(名付け親としても)絶対に忘れません。我が友であり、すばらしい人間性のあなたがいなくなり、みんながとても寂しく思うでしょう」――デビッド・オルティーズ
「フェンウェイ・パークに初めて足を踏み入れたときから、僕の投球をしっかりと伝えていただき、勝敗の感情を分かち合えたことに感謝します。多くの励ましの声とあの笑顔はいくつもの場面とともに思い出すことでしょう。お互いを認め敬う気持ちはあなたとの想い出とともに私の中でこれからもずっと生き続けます」――ペドロ・マルチネス
放送ブースを訪ねたあの日、話は同じくドミニカから来たジュリアン・タバレス投手に及んだ。米国に来た当初は、球場までの道順が言えずタクシーに乗ることに恐怖心を抱いていたタバレスは、アパートから2時間以上をかけて徒歩の日々を過ごしていたという。レミー氏が結んだ「異国からの選手にはそんな逸話が一つや二つあるものさ」には、先人たちの遺響がはっきりと聴き取れる。
物議を醸した田中への発言は、決して差別意識とは結び付くものではない。
選手の心情に寄り添った野球解説者、ジェラルド・ピーター・レミーはもういない。