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酒井高徳30歳に聞く日本代表の「ポスト長友」問題…名前を挙げた“2人の若手”とは?《なぜ第2の長友が出てこないのか》
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byVISSEL KOBE
posted2021/11/09 11:04
2019年夏にヴィッセル神戸に加入した酒井高徳。14年、18年と2度W杯に出場。18年の大会後に代表引退を表明している
酒井 あとはサッカーの戦い方はいろいろあるわけで、日本代表としてどういうサイドバックを求めているのか、それが非常に重要なポイントだと思うんですよね。
バランスを取れるタイプなのか、超攻撃的なタイプなのか。日本代表はこういうスタイルの攻撃をするから、こういうサイドバックが欲しいということだったら、人選をフォーカスできる。けれど、今ってそれが漠然としている。
先ほど言ったように、すべての能力を持っているサイドバックなんてそうはいないんですよ。なのに、漠然としたイメージでサイドバックというポジションだけを取り上げて、すべての能力を求めるというのは、選手としては非常に苦しい。
たとえば10月の日本代表の試合は、(酒井)宏樹がいる右の重心が低くて、長友さんがいる左の重心が高いというのが、僕が見たイメージだったんですね。でも、今までの日本代表で宏樹がああいう低い位置でプレーしていたかといえば、そうじゃなかったと思うんですよ。
もちろん左の重心を高くしてもうまくいくはずだし、それに適しているのは長友さんしかいないと思う。あれだけ裏へ出て、なおかつ戻る動きをできますか?と聞かれて、手を上げられるサイドバックはJリーグに少ないでしょう。ただ、右の重心を高くするというやり方も、日本代表はできると思うんです。
「左の重心を低くする場合、中山選手はぴったり」
――そうすると酒井宏樹選手の良さがより出る?
酒井 そうそう。別の媒体のインタビューで、左サイドバックの候補として中山雄太選手(24歳)の名前をあげさせてもらったんですが、宏樹がいる右を活性化して、左の重心を低くするのであれば、中山選手はぴったりだと思う。
左重心だった試合を、右重心にするだけで、『ポスト長友』問題って解決するんじゃないの、って感じもします。
――日本代表がどういうサッカーをするか、もっとはっきりしてくればいいと。
酒井 と思います。現代サッカーでは、サイドバックの役割はますます多様化しているじゃないですか。
本当にサイドバックなのかというくらい技術が高い選手がやっていることもあるし、まるでセンターバックのように守れる選手がやっていることもある。役割を実行できる選手がいるか・いないかで、チームのパフォーマンスが大きく変わる。
たとえばマンチェスター・シティだったら、サイドバックでありながらボランチもできて、高い位置ではサイドハーフみたいにドリブルできる選手が必要とされている。一般的なサイドバックとして優れていても、その役割をできないと試合に出られない。
一方、チェルシーでは守備を求められたうえで、ウィングバックとして縦への推進力が重視される。
どういうサッカーをするかというのがしっかりあり、それに当てはまる選手をきちんと選ぶことが、とても大事になっていますよね。
一人で突破できる選手が見たいなら、そういう選手を使うべきだし、それにあった攻撃の仕方、守備の仕方をチームとして用意しなきゃいけない。
「川崎フロンターレの旗手怜央くんかな」
――では、日本代表ではどんなサイドバックを求めるべきだと思いますか?