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酒井高徳30歳に聞く日本代表の「ポスト長友」問題…名前を挙げた“2人の若手”とは?《なぜ第2の長友が出てこないのか》
posted2021/11/09 11:04
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
VISSEL KOBE
数年前、日本は「サイドバック大国」になると、多くの人が期待したのではないだろうか。長友佑都、内田篤人、酒井宏樹、酒井高徳が欧州5大リーグで活躍し、日本人サイドバックの評価が高まった。
しかし、それは一時的なブームにすぎなかったのかもしれない。今夏、長友と酒井宏樹がJリーグに戻り、欧州5大リーグで活躍するサイドバックが本職の日本人選手は再びゼロになった。
ドイツ2部のハノーファーで室屋成が主力になり、ベルギー1部のシント・トロイデンで橋岡大樹が準レギュラーになっているものの、レベルも注目度も欧州5大リーグから劣ることは否めない。冨安健洋が新天地のアーセナルで右サイドバックの地位を確立しているが、センターバックが本職で日本代表では同ポジションを務めている。
サイドバックの人材難は、日本代表のパフォーマンスにも影響している。
35歳になった長友佑都は依然として日本ナンバーワンの左サイドバックだが、インテル時代と比べると躍動感が落ちた印象を受ける。大崩れしないが、大当たりもない。
それでもW杯最終予選では4試合連続で先発中で、違いをもたらすような働きはできていない。このまま左サイドが「プロブレムゾーン」であり続けるなら、日本は最終予選でさらに苦しむだろう。
なぜ日本サッカー界から「第二の長友」が出てこないのか? かつてドイツのシュツットガルトやハンブルガーSVで主力として活躍し、日本代表で長友や内田とポジションを争った酒井高徳(現ヴィッセル神戸)に話を聞いた。
◆◆◆
――日本サッカー界から突出したサイドバックが減ってきていると思います。高徳選手は「ポスト長友」問題をどう見ていますか?
酒井 難しいテーマですね。きっとみんな、長友選手を凌駕するようなサイドバックがバンと出てきて『うわ、この選手に任せよう』というのを期待していると思うんですけど、そういう理想的な世代交代って世界的にもなかなかなくて。
現実的に言えば、これは起用する側の問題も関係しているのかなと。たとえば10月のUEFAネーションズリーグの準決勝と決勝で、スペイン代表のルイス・エンリケ監督は初招集した17歳のMFガビを先発で使いましたよね。
世代交代というのは、監督が周囲から批判を受けながらも『この選手を使うんだ』という強い意志を示し、使い続けなければ起こらない。すごく忍耐力が必要な作業だと思うんです。
監督からの信頼をあまり感じられないまま、途中から出るだけだったり、たまにスタメンで出るというだけでは、なかなかいいプレーをするのは難しい。若手ならなおさらです。
僕の個人的な意見としては、もちろん長友さんがすごい選手なのはわかっているんですけど、違う選手を使う勇気がないだけなのかなって思います。
「日本代表はどんな左サイドバックを求めているのか」
――起用法が「ポスト長友」問題の根っこにあると。