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「フロンターレは死んでいない」「ポンポン選手を連れてきても…」 小林悠や強化部が語った《1敗だけでJ1連覇》の真相と転機
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/11/04 17:01
2度目のJ1連覇を果たした川崎フロンターレ。札幌戦などのターニングポイントを乗り越えての栄冠となった
その結果、田中碧が君臨していた中盤には大卒新人の橘田健人が出場機会を増やし、レギュラーとして躍動。鮮やかな無回転ミドルシュートで劇的な決勝弾を記録した2年目の宮城天のようなラッキーボーイも誕生した。ブランクが懸念されていた新戦力のマルシーニョも、しっかりとチームの武器となった。
総力戦を戦い抜いたチームは、札幌戦からリーグ戦7連勝を達成。一方で、背中にいたはずの横浜F・マリノスは徐々に失速した。気づくと、勝ち点差は12まで開き、11月3日、2年連続で4試合を残してのJ1制覇が決まった。
これで、この5シーズンでシャーレを4度掲げた。
「フロンターレの魂というものを見せることが」
19年のルヴァンカップと20年の天皇杯を含めると、通算タイトル数は6つだ。かつて「シルバーコレクター」と呼ばれた時代に所有していた8個の銀メダルの数を超える日も、そう遠くないだろう。
この強さを維持していくことは、もちろん容易ではない。だがクラブが積み上げてきたものは、一朝一夕では揺るがない自負もあるはずである。2度目のリーグ連覇は、そんな力強さも証明したシーズンだった。
「これがフロンターレの魂というものを見せることができた」
優勝が決まった浦和戦で、執念とも言える形でゴールをねじ込んだジェジエウはそう胸を張った。彼の紡いだこの言葉は、今季の優勝するまでの歩みそのものを代弁していたようにも思えた。
――簡単に崩れない。そして我慢強く積み上げていく。
勝つことで見える景色を目にしながら前進し続けているクラブは、王朝を築き始めている。
<中村憲剛の詳細解説編に続く>
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