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「フロンターレは死んでいない」「ポンポン選手を連れてきても…」 小林悠や強化部が語った《1敗だけでJ1連覇》の真相と転機
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/11/04 17:01
2度目のJ1連覇を果たした川崎フロンターレ。札幌戦などのターニングポイントを乗り越えての栄冠となった
「ゲームが終わった時は、周りが喜ぶでもなく、悲しむでもなくだったので、どういう状況かはわかっていなかったです。ただガンバが1-0でリードしていて、まだゲームが終わっていないと聞いてました。(横浜F・マリノスの結果は)自分がどうこうできるわけではないので。待っている間にどういう結果になっても、優勝が決まったら喜ぼうと話していました」
勝ち続ける者も、負け続ける者もいないはずのプロの世界で、わずか1敗しかしなかった。どんなに連勝を続けても、一喜一憂しない。「勝ちながら修正していく」を合言葉にしながら突き進んできた集団が、引き分けた試合後に破顔し、大きな歓喜に浸っていた。チャンピオンになる瞬間というのは、やはり1年間の戦いが全て報われる、特別な空間なのである。
「昨シーズンとはひと味違う感覚です」
優勝セレモニーでは、キャプテンの谷口彰悟が村井チェアマンから祝福の言葉とシャーレを受け取った。去年の優勝が決まった試合は出場停止で、彼は等々力でのシャーレアップをしていない。ただ2018年のリーグ連覇の際には、負傷離脱していたキャプテンの小林悠に代わって、副キャプテンとして掲げた経験がある。連覇の偉業を達成して行うシャーレアップも、彼にとっては2度目の儀式だ。
去年は34試合で勝ち点83を積み重ねた。
まだ4試合を残しているが、今年は同じ34試合で勝ち点85だ。あれだけ圧倒的な強さを見せた去年のチームをさらに超える数字を叩き出した。もしかしたら、伝説として語り継がれていくJリーグチームを見ているのかもしれない。しかし去年とは違う道のりの末にたどり着いた頂だったと主将は振り返る。
「やってる選手達からすると、本当に一戦一戦必死でした。ギリギリのところで、勝つか負けるかとか、勝つか引き分けるか――それを勝ちに持っていったり、そういうことをやってきた結果の優勝だと思います。昨シーズンとはひと味違う感覚です」
おそらく、本音だろう。実際、苦しみ抜いたシーズンだったからだ。
三笘薫・田中碧の移籍と首位陥落危機
特に夏場以降だろう。例えば、三笘薫と田中碧の両者が正式に移籍して迎えた最初のゲームとなった第24節の柏レイソル戦では、公式戦40試合ぶりに無得点に終わり、連勝も4で止まっている。
試合翌日に2位の横浜F・マリノスが勝利して勝ち点差を6に縮め、独走状態に待ったをかけるように食い下がってきた。第26節のアビスパ福岡戦ではついに初黒星を喫し、勝ち点1差と肉薄された。主力2人の移籍に加えて、けが人も目立ち始める……両者の勢いの差は明らかで、首位陥落は時間の問題ではないかとも言われた。
しかし川崎は、決して自分たちから崩れない。