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ヤクルト森岡良介コーチが明かす“山田哲人&村上宗隆”守備力UPの秘策とは〈メンタルに“表情改革”の効果あり!?〉
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph bySankei Shimbun
posted2021/11/02 11:04
森岡良介内野守備走塁コーチが明かす、山田哲人、村上宗隆の守備力UPの理由とは?
加えてチームのキャプテンに就任した今季は、精神的な成長も見えた。野球日本代表「侍ジャパン」の一員として東京五輪にも出場し、目標に掲げていた金メダルを獲得。意識が一段高くなり、チーム全体を見渡す広い視野が身に付いたという。
「もともと哲人は自分から皆の前に出て何か言うタイプじゃないんですけど、キャプテンになって明らかに変わりました。他の選手に声をかける回数が増えたし、ここぞという時に、投手に声をかけて気持ちを切り替えさせてあげたり。哲人の成長した姿を見られたことが本当に嬉しいです」
優勝争いへ、天王山となった10月10日の阪神戦では、同点に追いつかれた4回、なおも1死満塁のピンチで村上が三塁への痛烈な打球を痛恨のトンネル。阪神の勝ち越しを許した。実はこのプレーの後にも、山田が村上にすかさず声をかけ、励ましていたという。
その村上も守備面で成長を見せた。九州学院高時代は捕手で、18年のプロ入り後に内野手に転向。守備は決して得意ではないが、今季は春のキャンプから積極的に森岡コーチの特守を受けるなど向上心を見せていた。
「一番大きいのはスローイングが安定してきたことですね。その分、捕ることにも集中できていて、全ていい方向に向かっているかなと思います。キャンプから凄く自覚が見えて、練習に対して取り組む姿勢が年々、良くなっている。何よりあの年にして、自分が主力という自覚をもって過ごしているのは凄いなと感心して見ています」
守備シフトは「結局は選手の洞察力」
森岡コーチは一軍コーチに昇格した昨季から、1球ごとに細かく指示を送る内野守備シフトの徹底に取り組んでいる。例えば、今年5月のオリックスとの交流戦では、T-岡田に対して、三塁手の村上が一、二塁間に移動して右翼方向の守備を固める守備隊形を敷いた。阪神の佐藤輝明やDeNAの佐野恵太など、打球方向に特徴のある打者には、大胆な守備シフトで対応することもある。