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ヤクルト森岡良介コーチが明かす“山田哲人&村上宗隆”守備力UPの秘策とは〈メンタルに“表情改革”の効果あり!?〉
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph bySankei Shimbun
posted2021/11/02 11:04
森岡良介内野守備走塁コーチが明かす、山田哲人、村上宗隆の守備力UPの理由とは?
「スコアラーさんから打球方向のデータを出してもらっているんですが、数字だけでは内容が分からない。打球の質の違いもあるし、ピッチャーが誰で、投げた球筋や球種、バットの軌道はどうだったのかによって全く変わってきますから。僕は映像を見るのが好きなので、朝早くクラブハウスに来て対戦相手の打席の映像を見て考えをまとめて、投手コーチやバッテリーコーチとも話し合います。でもね……結局は選手の観察力、洞察力の方が合っているんですよね(笑)」
コーチが一方的に指示するわけではなく、山田、村上ら選手のナマの声も取り入れて判断する。守備位置について日々話し合いをすることで、選手たちの守備位置や打球判断の意識も向上しているというわけだ。
「選手任せにするときもありますよ。哲人も村上も本当によく観察して動いてくれている。シフトだけじゃなく、彼らの意識や判断力が高まってきた、という要素もある。試合後にも、あの時どうやった? とか振り返って話し合うことも多いですから」
「みんながいい表情になっていったのが本当に嬉しかった」
2年連続最下位から優勝へ。奇跡のV字回復を果たした今季、選手たちに、メンタル面の変化はあったのだろうか。最後に、森岡コーチがこんな秘話を明かしてくれた。
「今年のキャンプの時、みんなの前で、どんな時も表情を気にしよう、という話をしました。去年は最下位で、シーズンの最後の方はみんなの顔がいつも辛そうだった。コロナ禍で球場にお客さんが来られず、試合をテレビで見る人も多いのに、そんな顔が大写しになることが気になりました。見ている人に対しても失礼で、凄く嫌だったんですよ。メンタル面がぐっと落ちていると、顔に出る。逆に顔からメンタル面を上げていくことも出来るはずなんです」
姿勢をスッと正す。うつむかず顔を上げる。“への字口”ではなく、口角を上げる……。ファンに見られている「表情」の変化が、「心」を変え、「行動」を変えていくこともある。