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ユナイテッド粉砕の陰のマン・オブ・ザ・マッチは“偽9番” クロップも絶賛するフィルミーノの「異常」なパフォーマンス

posted2021/10/31 17:03

 
ユナイテッド粉砕の陰のマン・オブ・ザ・マッチは“偽9番” クロップも絶賛するフィルミーノの「異常」なパフォーマンス<Number Web> photograph by Getty Images

好調サラーの活躍に隠れがちだが、フィルミーノのパフォーマンスこそがリバプールの躍進を支えている

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 モハメド・サラーがハットトリックを達成し、リバプールがアウェーで大勝(5-0)を収めた10月24日のマンチェスター・ユナイテッド戦。ダイレクトでの最初の2ゴールも、走りながらのタッチとフィニッシュによる3ゴール目も、冷静沈着かつ正確無比に決めたサラーは当然のごとくマン・オブ・ザ・マッチに輝いた。

 国内紙の採点は『タイムズ』『デイリー・テレグラフ』といった高級紙でも10点満点。CL戦を含め連続得点記録を10試合まで伸ばした29歳は、巷で「現役世界最高」との声が上がるだけの資格を改めて示した。

 しかし、復活を期すユナイテッドに現時点での格差を痛感させたリバプールには、改めて凄さを見せつけた男がもう1人いる。3トップ中央で先発したロベルト・フィルミーノだ。

懸命で果敢なオフ・ザ・ボールの動き

 試合前の報道は、4日前のCL戦で逆転ゴールを決めていたこともあり、ユナイテッドで9番役を務めるクリスティアーノ・ロナウドに対する注目度の方が高かったかもしれない。ところが、いざキックオフの笛が鳴るとすぐに、リバプールで9番を背負う「偽9番」に目を奪われずにはいられなかった。

 開始1分と経たない間に中盤の左インサイドでパスを受けたフィルミーノは、シャドーストライカーというよりも攻撃的MFを思わせるプレーエリアにまで顔を出し、クレバーに動き回った。

 スコット・マクトミネイとフレッジの間や、その相手2ボランチを背後にしてハリー・マグワイアとビクトル・リンデロフによるCBコンビ手前のスペースに巧みにポジションを取り、ユナイテッド守備陣に不吉な影を落とす。

 オフ・ザ・ボールでの動きは懸命で果敢。ボールを持てば賢明で決定的。リバプールの勝因であり、ユナイテッドの敗因であるそうした要素を、陰のマン・オブ・ザ・マッチはピッチ上で体現していた。

5得点すべてに「偽9番」の足跡が残る

 記録上はゴールにもアシストにもフィルミーノの名前はない。だが、チームの5得点には、すべて「偽9番」の足跡が残っている。前半5分のナビ・ケイタによる先制点は、ハーフウェーライン付近の左インサイドでビルドアップに絡んだポジショニングのセンスが光る。ボールをコントロールして前を向くと、追走を試みるマクトミネイに加えて、手前にいたマグワイアも釣り出し、アシストを決めたサラーにパスを通している。

 8分後にディオゴ・ジョタが締めくくった2点目に至る攻撃は、前線に上がっていたアンドリュー・ロバートソンに自陣内から届いたパスに端を発している。左SBにボールを届けたのはジョーダン・ヘンダーソンだが、ボールを持ったMFの正面にはパスの選択肢を提供するフィルミーノがいた。

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