サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
“幻の代表監督”ベンゲルが71歳に 19年前に語っていた本音「もし選択する日が来たら、日本代表を選ぶと思うよ」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/10/22 11:01
本日10月22日はアーセン・べンゲルの72回目の誕生日である
そのトルシエと日本サッカー協会は、2000年に契約更新を迎えた。続投か否かが取り沙汰されたが最終的には続投となり、一方のベンゲルは翌年にアーセナルとの契約を05年まで更新した。
彼が代表監督就任の要請を退けてきたのは、クラブの仕事に魅力を感じているからだった。グランパスを率いていた当時には、「代表監督は、もう少し歳をとってからでもできる。でも、フルタイムでチームを作っていくクラブの仕事は、いましかできないからね」と話していた。
「世界一のチームの監督をやるよりも……」
日本代表の監督について、ベンゲルに話を聞いたことがある。02年の日韓W杯を数カ月後に控えたタイミングで、彼に会うことができた。
「もし代表チームの監督のポストを選択する日が来たら、日本代表を選ぶと思うよ。私の母国のフランスは、98年のワールドカップで世界チャンピオンになった。もう上はないんだ。日韓W杯の結果がどうなるかは分からないが、世界一のチームの監督をやるよりも、日本代表のほうがどんなにか野心的なチャレンジじゃないか」
しかし、ベンゲルの日本代表監督就任はついに実現しなかった。アーセナルで長期政権を築いていったことで、就任が噂されることもなくなっていった。
それでも、タイミングがあったとしたら──。
〈2大会のW杯〉もしベンゲルが率いていたら……
10年の南アフリカW杯後はどうだっただろう。大会直前の不振から驚異のV字回復を遂げたチームは、2度目のベスト16入りを成し遂げた。長谷部誠、川島永嗣、本田圭佑、長友佑都、内田篤人らは、4年後のブラジルW杯へ向けて自信を膨らませていく。W杯後にヨーロッパのクラブへ移籍する選手も多く、クラブでもハイレベルの経験を積んでいった。
世界の最先端で刺激を受ける選手たちを、ベンゲルが率いていたら──。アルベルト・ザッケローニが指揮したチームとはまた違う魅力を、日本代表は放つことができたのではないだろうか。
14年のブラジルW杯後も、タイミングとしては悪くない。