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“幻の代表監督”ベンゲルが71歳に 19年前に語っていた本音「もし選択する日が来たら、日本代表を選ぶと思うよ」
posted2021/10/22 11:01
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama
Jリーグを経て世界的な名将となったあのフランス人が日本代表の監督になっていたら、この国のサッカーはどうなっていたのだろう。2021年の私たちが見ているものとは違う景色が、広がっていたかもしれない。
あのフランス人とは、アーセン・ベンゲルである。1949年10月22日生まれの彼は、72歳の誕生日を迎えた。
日本代表監督に就任するのではとの噂は、これまでに何度もあがっている。
最初の要請は「グランパスとの2年契約」を理由に固辞
最初のタイミングは1995年秋だった。加茂周監督の契約を更新するか否かが議論され、Jリーグで采配をふるう3人の外国人監督が後任候補として浮上する。そのひとりがベンゲルだった。
95年に名古屋グランパスの指揮権を託されたフランス人指揮官は、前年まで下位に低迷していたチームを優勝戦線へ引き上げた。メンタルのすさんでいたドラガン・ストイコビッチを復活させ、日本人選手を適材適所で起用し、攻守に明確なコンセプトを提示したチーム作りは、日本代表にも当てはめられるものだっただろう。しかし、ベンゲルはグランパスと2年契約を結んでおり、すぐに要請を固辞した。
アーセナル監督時代は「トルシエを推薦」
98年のフランスW杯終了後にも、候補のひとりにあげられた。協会幹部が「外国人なら欧州の監督かブラジル人」との見解を示すと、ベンゲルにスポットライトが当たる。
96年秋にグランパスを離れたベンゲルは、イングランドの名門アーセナルの監督となり、在任2期目の97-98シーズンにプレミアリーグとFAカップのダブルを達成していた。ベンゲルは自らが日本にやってくるのではなく、自身と同じフランス人のフィリップ・トルシエを推薦したのだった。