「もうね、毎年、毎年、大変ですけど、それでもウチは良いピッチャーが育っているよね。八木（智哉／元日本ハムなど）の頃からね。毎年ではないけれども、3年やそこらの周期で必ず出てくる。八木の後は、大塚（豊／元日本ハム）、小川（泰弘／ヤクルト）、そこから石川柊太、田中正義（いずれもソフトバンク）と池田（隆英／日本ハム）が出てきた。

　それで杉山、望月、小孫とつづいて、今度は鈴木が3年で出てくるからね。当然、次のことも考えているし、（鈴木も）来年から投げるようになるんじゃないかな」

　その言葉どおり、鈴木は大学3年秋の関東地区大学野球選手権（横浜市長杯）から頭角を現す。初戦の国際武道大学戦では4安打、1自責点で完投して12個の三振を奪うと、準決勝の上武大学戦では5者連続三振を含む9個の奪三振を記録し、プロスカウトの評価を高めた。

阪神から2位指名。「伸びしろ」も◎

　今秋のプロ野球ドラフト会議では阪神から2位指名を受けた。余談だが、誕生日が3月という早生まれである点を踏まえると、「伸びしろ」という意味でも期待が増す。

　鈴木は言う。

「自分は小さい頃から特に目立った選手ではなくて、大学も1、2年生と全然目立った存在ではなかったんですけど、それでも諦めなければ自分の目標を叶えられるんだよということを、たとえ野球じゃなくてもいろんな目標を持つ子供たちに伝えられたら良いなと思います」

　耐え忍んで手にしたプロの舞台。鈴木勇斗という逸材が大輪の花を咲かせるシーズンを楽しみに待ちたい。