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「日本には強烈なショックが必要だ」トルシエが語るサウジ戦…日本代表に欠けていた「野心」と「マネジメント」を埋める術とは?
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2021/10/11 17:30
日本代表監督時代、国際Aマッチで23勝11敗16分の成績を残したトルシエは、サウジ戦の日本にがっかりした様子だった
――来週の火曜で、キックオフはフランス時間で12時14分です。
「それなら見られる。日本の勝ち点は?」
――3試合で3点です。これだけスタートが酷かったのは本当に久しぶりです。前回のヴァイッド(・ハリルホジッチ)のチームも初戦はUAEに敗れましたが、2戦目からは連勝しましたから。
「田嶋会長はメディアから批判されるのではないか?」
――そう思います。
「監督交代も迫られるのでは?」
――しかし今回は会長自身が選んだ監督なので、ヴァイッドのときとは違って容易には代えられないでしょう。
「ベルギーがフランスから先制点をあげた(註:ネーションズリーグ準決勝の中継中だった)」
――試合はもう始まっているのですか?
「もうすぐ40分でベルギーが1対0とリードした。私はまだ(膝の手術後)入院中だ。土曜に退院する」
日本には強烈なショックが必要だ
――明後日ですね。リハビリは順調ですか?
「ああ、うまくいっている。今、見ているのはベルギー対フランスで、ベルギーはちゃんとしたチームになっている。組織もしっかりしているが、フランスはちょっと日本と似ている。今日のフランスは自信を欠き、デシャンは3バックで臨んだ。しかしそれは彼らのプレースタイルではない。選手はフランス人を配しているがチームにはなっていない。日本同様に選手はいるが自信を欠き、確固としたプランもない。今日は3バックで臨み、明日は4バックという具合だ。選手の入れ替えもあった。(註:後半のフランスはペースを取り戻し、運動量の落ちたベルギーを圧倒して3対2と逆転勝利を収めた)。
対してベルギーはシステムが確立している。日本も以前は自分たちに合ったシステムを作りあげていた。だが今日の日本は本性とは異なるプレーをして、残念なことにクオリティの高い選手は存在しなかった。加えて自信や意志の問題があった。監督のカリスマ性やマネジメントにも問題があったかも知れない」
――そうかも知れません。
「まあいい。目的はもう負けないことだ」
――簡単ではありませんが。
「サッカーにはサイクルがある。日本にはフラムがなく、だからこそ強烈なショックが必要だ。ボンニュイ」
――メルシー、フィリップ。