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<ドラフト真相>「斎藤くんが巨人にどうしても入りたいと言ってくれたら…」巨人が斎藤佑樹を断念して澤村拓一を1位指名したワケ
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJun Tsukida/AFLO SPORT
posted2021/10/09 11:06
2010年のドラフト会議で日本ハムに1位指名され、記者会見で笑顔を見せた斎藤。プロ11年間で15勝26敗、防御率4.34という成績だった
ところがこの制度的な“逆指名”は、選手の指名を受けるための様々な不正行為が発覚したことで、05年に廃止となり、その後は高校生と大学・社会人の分離ドラフトを経て、現行の指名重複はくじ引きという制度に落ち着いている。
要は人気選手には複数球団が入札指名することができ、そして最後はくじ引きで交渉権を獲得する球団が決まるというものだ。
だとすれば競合しそうな球団をどれだけ減らせるかということも、ドラフトの一つの戦略と巨人は考えてきた。そこで再びルール的な縛りのない“逆指名”を選手にしてもらうという努力をするようになったのである。
両親が巨人入りを熱望しているという“情報”も
そこで話は2010年に戻る。
夏の甲子園大会が終わった時点で巨人の1位候補は即戦力の投手となり、候補としては斎藤とチームメイトの大石、そして大野に澤村という4人の投手に絞られていた。中でも斎藤と大石の人気が高く、その2人のどちらかに指名がいくのではないかというのが当時のスカウトの見立てだった。
同時に進んでいたのが水面下での調査で、斎藤は両親が巨人ファンで巨人入りを熱望しているという“情報”があると聞いたこともある。そこで巨人が動いたのは、斎藤から“逆指名”を受けることができないか、ということだったのである。
だが、結果的に斎藤サイドから「巨人一本でいきたい」という答えを聞くことはできなかった。
「もし斎藤くんが巨人にどうしても入りたいと言ってくれたら、ウチは指名しますよ。でも最後までその答えをもらえなかった。逆に澤村くんは巨人に入りたい、巨人一本でいきたいと言ってくれている」
そして清武さんはこう断言した。