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高3では指名漏れ「4年後にプロに…」→大学で150キロ超え!《ドラフト上位候補》関西を代表する右腕2人の共通点とは?
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2021/10/07 17:02
4年前に指名漏れを経験した北山亘基(京産大)と翁田大勢(関西国際大)。大学4年間で着実に階段を登ってきた
3年春は新型コロナウイルス感染拡大の影響で春季リーグ戦が中止となり、部活動は停止状態に。外に出て練習することすら許されない日々が続いたが、北山はむしろその状況をプラスに変えることに努めてきた。
「動画で体の使い方を見ながら、ストレッチとかその時にできることをやってきました。動画サイトで西園美彌さんが監修する”魔女トレ“というのがあって、足首の神経の伝達系のトレーニングがあったんです。その中で体の正しい使い方を学んで、自分にどんなトレーニングが合うのかを色々試しました」
とにかく勉強熱心だ。自分に必要なのではと思うことはまずは試して、今後に生かす。02年から指揮を執り、平野佳寿(オリックス)らを育てた勝村法彦監督は言う。
「去年から練習ができる時間が限られる中で、どんな風に調整していくべきか自分で考えながらやっていました。地道な練習メニューでも、しっかりやり切れる。自分に何が必要かを取捨選択しながら許容量も考えて練習できる。そういう姿勢は入学した頃からありましたね」
勝村監督が就任後初めて投手ながら主将に指名したのも、その人間性の高さを認めてのことだった。投手で主将は大きな負担となることは承知していたが、それ以上に北山がチームに与える影響は大きいと考えたのだ。取材時はまっすぐに対話者の目を見つめ、丁寧に言葉を紡ぐ。ここまで折り目正しい大学生はあまりいないだろう。
指揮官は続ける。
味方のエラーにも動じない精神性
「この秋のリーグ戦は、味方のエラーから失点する場面が多く、正直我慢の連続だったと思います。それでも本人は表情に出さずに淡々と投げていました。そういったところも彼の素晴らしさ。彼はまだのびしろがあると思っていますし、プロに行けばさらにすごい投手になると思っています」
秋季リーグ戦は夏前に再び新型コロナウイルスの影響により部活動停止による調整不足の影響もあり、開幕戦の神戸学院大学戦では先発マウンドに立つも、6回を5安打2失点でマウンドを降り、大商大戦では初回にいきなり4点を失うなど6失点で完投するも敗れた。
勝ち星に恵まれない日々が続いているが、神院大戦の3回戦では自己最速の153キロをマーク。春のリーグ戦では59回1/3を投げ、69個の三振を奪うなど防御率1.52の成績を残し、最優秀投手賞を獲得するなど実績は積み上げている。