マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER

《ドラ1候補から衝撃ホームラン》大学3年まで無名だった“ドラフト急浮上の男”ブライト健太(上武大4年)とは何者なのか?

posted2021/10/05 17:30

 
《ドラ1候補から衝撃ホームラン》大学3年まで無名だった“ドラフト急浮上の男”ブライト健太(上武大4年)とは何者なのか?<Number Web>

6月の全日本大学選手権でドラフト注目候補に浮上した上武大学のブライト健太外野手(4年・185cm85kg・右投右打・都立葛飾野高)

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

PROFILE

 10月11日に迫るドラフト会議。“流しのブルペンキャッチャー”として全国各地、数多くのアマチュア選手を取材してきた筆者がドラフト注目候補を紹介する。今回は上武大4年のブライト健太外野手(22歳)に話を聞いた。

 2017年4月。

 詳しい日付は忘れてしまったが、春のセンバツが幕を閉じてしばらく経った頃、私は神宮第二球場のネット裏記者席にいた。

 ここの記者席は日陰を風が吹き抜ける。夏はとてもありがたいのだが、春や秋の天気の悪い日は寒い。季節を一つずらしたぐらいの格好でちょうどよかった。

 日大三高を見たかったのと、東京の高校野球にくわしい人から、「都立にちょっとすごいスラッガーがいる」と少し前に聞いていて、その両校が対戦するなら……と足を運んだ。

 都立葛飾野高校・ブライト健太外野手。当時のパンフレットで、183cm80kg。胸躍る「数字」の並び。お父さんがガーナの方で、すでに高校通算20本塁打だという。

松葉づえ→一塁まで「全力ケンケン」

 どんな野球をするのか……すごく楽しみにして試合開始を待っていたら、スラリとした長身が、松葉づえを突いてグラウンドに現れたから驚いた。

 スタンドで応援の部員に訊いたら、2日前に足首にひどいケガをしたという。「なんだ、ブライト健太、見られないのか……」とガッカリしながら、日大三高の一方的リードの展開を眺めていた試合終了直前だ。

 志願して、代打で出てきたブライト健太が、バットを杖にして、打席に向かう。片足をひきずって、なんとか打席に入ると、ケガをしている右足を浮かせて、右手一本でバットを構えた。

 それで打つのか……一瞬、狂気のようなものを感じた。

 投じられたボールを、ブライト健太が右手一本で握ったバットで打った。打球がセカンドの前に転がった。

 えっ、でも、ここからどうするんだ! 走れないだろ! そう思った瞬間、ブライト健太が左足の「ケンケン」で一塁に向かって跳んでいったから、たまげた。

 カンガルーのように跳んでいく彼の「全力ケンケン」が一塁ベースを跳び抜けるのと、二塁手からの送球がファーストミットにおさまったのは、まさに間一髪の違いしかなかった。

【次ページ】 「監督さんにムリ言って出してもらいました」

1 2 3 4 NEXT
#ブライト健太
#都立葛飾野高校
#上武大学
#隅田知一郎
#西日本工業大学
#大山悠輔
#渡部健人
#埼玉西武ライオンズ

大学野球の前後の記事

ページトップ