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最注目学生ランナー“三浦龍司ってどんな人?”「オフはとことん休む派」「映画は洋画で字幕派」本人に聞いてみた
posted2021/10/09 11:04
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Ichisei Hiramatsu
自分の性格は「とにかく、マイペース」
東京五輪の3000m障害での7位入賞をはじめ、国内の各大会でポテンシャルの高さを結果で証明し、一躍、日本の中長距離界の顔になった三浦龍司。陸上界史上初の快挙を成し遂げたが、まだ大学2年生の19歳。その素顔はあまり知られていない。
「とにかく、マイペース」
三浦は、自分の性格をそう語る。こだわるものには集中するが、それ以外は無頓着で、いい加減だという。
ただ競技に対しては非常に慎重だ。結果を出せていない、あるいは不向きと自らが感じている種目でのレースは設定タイムを落とし目にするなど、自分に期待しない。例えば、今年2月の日本選手権クロスカントリー(福岡クロカン)がそうだった。
「シニアに出すよ」「いやークロカンで結果出すのは……」
エントリーの際、三浦は当初シニアではなく、ジュニアで出場しようとしていた。順大の長門俊介監督は、その時の三浦についてこう語る。
「ジュニアで出ようとしていたので、『シニアに出すよ』と言ったら『えーちょっと自信ないです』って、すごくテンションが下がっていました。記者会見でも『30分30秒で20番目ぐらいじゃないですね』と言っていて、僕は『相手は松枝(博基)選手しかいない。めちゃくちゃ練習できているから絶対に勝てる』となんとか鼓舞したんですが、『いやークロカンで結果出すのは……』と変わらず弱気で。苦手意識のある種目はテンション下がり気味ですね」
当の三浦にそのことについて聞いてみると、高校時代に出場したクロカンでの苦い思い出を教えてくれた。
「高校の時に2回、クロカンに出たんですけど、その時の成績が最悪で……。8kmであんなにクタクタだったのに、シニアの10kmになったらどうなっちゃうんだろうって不安だったんです。それでジュニアでの出場を考えていたら監督にシニアと言われて、びっくりしました(苦笑)。監督には『いけるぞ』と言われたんですけど、そうは思えなくて。とにかく自分に不向きというか不安がある種目は、『練習できているから』と言われても目標を低めに設定します」(三浦)
実際は、自己申告のタイムを大きく覆し、29分10秒で松枝を制して優勝した。