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「今回の箱根は勝ちたいですね」“ダークホース”順大監督が明かす《今年は何が違う?》―駅伝シーズン開幕インタビュー
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJMPA
posted2021/10/09 11:01
“今季のダークホース”として注目される順天堂大学。駅伝シーズン開幕を前に、長門俊介監督に話を聞いた
昨季の三浦と石井一希に比べると、今年の1年生は驚くようなタイムはなく、13分台は服部壮馬だけ。その服部は、出雲駅伝のエントリーメンバーに入った。他の選手も春先から多くの選手が自己ベストを更新している。これも次世代の育成に重きを置く順大ならではの結果だろう。
「今年の1年生は入学時、5000m13分台の記録を持ったいわゆる“即戦力”はいませんでした。でも素材が面白い選手が多く、力が拮抗していたのでお互いに切磋琢磨できた。今年から駅伝メンバーに入るのは難しくても、8月後半の選抜合宿では8人の1年生が入っていて、学年別だと一番多い。とても良い傾向だと思います」
真面目に泥臭いチーム「今、高校生だったらここでやりたい」
そんな順大のチーム編成を見ると、何より3年生の充実ぶりが目を引く。エースの野村優作を中心にタイムと結果がともなった「5人の柱」がチームを牽引しているのだ。
「今年、うちのチームは、野村、伊豫田(達弥)、西澤(侑真)、平(駿介)、四釜(峻佑)の5人が駅伝の中心になっていくと思います。
特に、四釜が楽しみですね。昨季の駅伝メンバーに絡めなかった悔しさを糧にずっと取り組んできたことが、関東インカレのハーフで全体4位(日本人トップ)など今年の結果にちゃんと繋がっている。ロードだけではなく、5000m、10000mでも自己ベストを更新していますし、真面目にコツコツと努力できる選手です。昨季、野村と伊豫田は箱根で往路区間を走って結果を出してきましたが、彼らと同じぐらいフィーバーすると思っています(笑)」
層が厚い3年生をしっかりと支えるのが、4年生のメンバーだ。
「真面目に泥臭くコツコツとやってきている4年生の姿がうちのチームのベースにあります。それを見て、2、3年生が力をつけてきて、またそれがチームのいい雰囲気を作っている。4年生が奮起することで、チーム力はさらに上がるでしょう。正直、僕が今、高校生だったら、このチームでやりたいなと思うような雰囲気になっていると思いますね」
順大の武器は三浦だが…
盤石のチーム状態で臨む今季の駅伝シーズン。東京五輪で活躍したエースの三浦もロードへの転化に慣れ、順調に移行中だ。大会や記録会で強豪校の選手からは、駒澤大学、青山学院大学、早稲田大学と並び、「今年の順大は脅威」という声がよく上がっている。長門にもその声は届いているようだ。
順大の武器は三浦だが、彼頼みのチームになるのか、それとも三浦を活かすチームになるのかで「駅伝力」に差が出てくる。突出した選手が一人いるチームは、言葉は悪いが、その選手に依存してしまいがちだ。