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「今回の箱根は勝ちたいですね」“ダークホース”順大監督が明かす《今年は何が違う?》―駅伝シーズン開幕インタビュー
posted2021/10/09 11:01
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
JMPA
塩尻和也、三浦ら選手育成の成功体験を持つ長門俊介監督は、その手腕を三大駅伝にどうつなげていくのか。勢力図を変え得る順天堂大学の「徹底したチーム作り」について話を聞いた(全2回の2回目/#1から続く)。
昨季の順大「自分たちの実力はこんなもんじゃない」
昨季、順天堂大は全日本大学駅伝8位、箱根駅伝7位という結果を残している。
両駅伝ともに三浦龍司を1区に配置し、スタートダッシュで有利な展開に持ち込む戦略だった。全日本は狙い通りで三浦がトップで流れを作ったが、結果的に順位は上げ下げを繰り返し、上位を死守することはできなかった。三浦が故障上がりで迎えた箱根は、1区終了時点で10位と出遅れたが、その後の粘りで7位に入り、シード権を確保している。
「全日本も箱根も出来不出来があり、物足りなかったですね」
順天堂大学監督、長門俊介は、そう振り返る。
昨季の箱根予選会に出場した順天堂大学は、三浦が日本人トップの全体5位(1時間1分41秒)でフィニッシュするなど、50番内には12位の野村優作を始め43位の原田宗広まで11名が入り、10時間23分24秒という大会記録でトップ通過を果たした。それだけにチームに対する期待感を選手たちはより強く感じていたが、その結果をうまく箱根駅伝に繋げることができなかった。
「予選会が良かったので、正直、もっと戦えると思っていました。学生たちも『(自分たちの実力は)こんなもんじゃない』という悔しさを抱えていました。だからこそ今年はもっと上を目指すぞというモチベーションを持って、今年はより意欲的に練習に取り組んできた。なんとか昨年の借りを返したいと」
2021年に取り組んだ“2つのテーマ”
トラックシーズンは、3年生が主役となって自己新を連発し、いい流れで終えた。駅伝シーズンに向けて追い込みをかける夏合宿では、2つのテーマを主眼に置いて取り組んだ。
「まずは、三大駅伝を走り切るスタミナ作りですね。ただ走るといってもうちは800kmぐらいで、距離以上に効率の良いランニングフォームを作るための動き作りを重視しています。もう1つは、上級生が抜けた後の次世代の育成です。8月の前半は三浦が五輪に出て、上級生には実業団の合宿で武者修行をしてもらい、チームとしては1、2年生の強化に重点を置いて取り組んできました」