最終目標の箱根優勝を達成するためにも、出雲駅伝・全日本大学駅伝で手応えを掴んでおきたいところだ。この2つの前哨戦は、箱根を占うレースになる。

「3番以内に入れたらと思いますが、それぞれのテーマを大事にしたいですね。出雲では駅伝の流れを意識する上でも出鼻をくじかれないようにしたい。全日本は、箱根に向けていろいろ試したいなと思っています。出雲の課題、全日本での課題をちゃんと箱根につながるようにしたいですし、その手応えを掴めたらといいなと思っています」

　出雲、全日本では、もしかすると大胆な選手の起用が見られるかもしれない。そこで結果が得られずとも収穫があれば、箱根に繋がる。

「今回の箱根は、勝ちたいですね」

　ただ、箱根には“魔物が住んでいる”とよく言われている

　選手の好不調という理由だけでは解決できない説明がつかないものがある。そのことを長門は理解し、東京五輪では三浦に「五輪には魔物はいない」と言い続けて、7位入賞を実現した。

「箱根にも魔物はいないと思いますけど、そこはしっかり魔物対策を講じていきたいですね（笑）」

　だが、今年はその心配には及ばず、きっと順位も大きく崩れることはないだろう。順大には、すでに魔物に勝ったエースがいるのだ。しかも、チームは、長門が監督を引き受けた時とはかなり違ってきた。

©Ichisei Hiramatsu

　順大が箱根制覇を果たしたのは、長門が4年生として在籍していた2007年大会が最後だ。それ以降は、長いトンネルに入っている。だが、塩尻がリオ五輪に出場し、三浦が東京五輪で快挙を成し遂げた今、チームのムードや選手の意識は変わりつつある。

「僕が監督に就任した2016年は、箱根で優勝するというイメージが湧きづらいチーム状況でした。でも、今は明確にそこを目標にできる。今回の箱根は、勝ちたいですね」

（【前編から続く】三浦龍司との東京五輪編）