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[白馬の源流を訪ねて]シラユキヒメ、母娘3代の奇跡
posted2021/10/07 07:04
シラユキヒメと5番仔のシロベエ
text by

島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Seiji Sakaguchi
1996年4月4日、ノーザンファームの旧第2厩舎でのことだった。当番で牝馬ウェイブウインドのお産を担当したスタッフが取り上げた仔馬は、羊水で濡れていて、全身がピンク色だった。
早産の未熟児などで、毛がなく、こうした色の仔が生まれることはある。しかし、ウェイブウインドのお産は予定より遅れていた。どうしてだろう、と思いながらタオルで羊水を拭いた。乾いてくると、だんだん白くなってきた。
――これは白毛だ。
白毛馬を見たのも触ったのも初めてだったが、そうだとわかった。ちょうど「みどりのマキバオー」という、白い馬が主人公のマンガが流行っていた。
「マキバオーが生まれたから見に来いよ」
と、彼は仲間に電話をした。
夜中の12時になろうとしていた。
電話を受けた繁殖スタッフの長浜淳(現・繁殖主任)は、1時間もしないうちに厩舎に行った。
「全身が、白っぽいピンクで、照明を受けて輝いていました」
その白毛の仔馬が、昨年の2歳女王で、今年の桜花賞を無敗で制したソダシの2代母のシラユキヒメだった。
シラユキヒメの母ウェイブウインドは鹿毛で、父サンデーサイレンスは青鹿毛だった。シラユキヒメは初仔だったのだが、ウェイブウインドは、普通に自分の仔として受け入れ、立ち上がった我が仔に乳を飲ませていたという。
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