プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア初昇格から5季目で大躍進のブライトン 三笘薫の保有元はオーナーもサポーターも人情派
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/10/05 17:00
レスターを撃破するなど、プレミア昇格5季目のブライトンが開幕から躍進の予感を漂わせている
そして、クリスタルパレス戦も試合後に「ポイント獲得の資格あり」としたポッターの自軍評に賛成だ。昨季までは十分なチャンスをものにできない弱点を抱えていたチームにあって、モパイによる同点ゴールは一撃必殺の境地。その前週にモパイとウェルベックがレスターから奪った得点が、いずれもセットプレーから生まれている事実と合わせて、チームとしての進歩を窺わせた。
三笘のレンタル先はオーナーがベルギーに所有するクラブ
このままトップ6で走り続けられるとは、ブライトンのサポーターでも思ってはいないはずだが、リーグ戦38試合のうち6試合を消化しただけの時点で、16位で残留した昨季の勝点41ポイントの3分の1近くを手にしている精神的な余裕は大きい。
クリスタルパレス戦後にモパイが口にした「俺たちブライトンはリーグ優勝を目指しているからなぁ(苦笑)」というジョークが、まずは万年降格候補からの脱却を意識できるようになった集団の自信と高揚感を物語る。
その微笑ましく頼もしいチームに来季は和製ドリブラーが加わる可能性もあり、日本人プレミア・ファンの1人としては、なおさらブライトンの今後が楽しみだ。
クラブのオーナーは3年前にベルギーのロイヤル・ユニオン・サン・ジロワを買収し、海外クラブ所有という自身のもう1つの夢も実現した。今夏には、川崎フロンターレから獲得した三笘薫がレンタル移籍で出され、1部に昇格している欧州サッカー修行先で英国労働ビザ取得の審査に必要なポイントの獲得に励んでいる。
三笘のビザ取得を待たず、この日本人ライターが今季ブライトン対サウサンプトン戦に足を運んだとしても、もはや「どうしてわざわざ?」とは言われないだろう。
オーナーからファンまで、地元サポーターが「夢」を現実へと変えながら、世界的人気を誇るリーグでトップ10入りを目標とする下地を築きつつある、魅力的なプレミアクラブのホームゲームなのだから。