プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア初昇格から5季目で大躍進のブライトン 三笘薫の保有元はオーナーもサポーターも人情派
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/10/05 17:00
レスターを撃破するなど、プレミア昇格5季目のブライトンが開幕から躍進の予感を漂わせている
リバプールとユナイテッドの興味が伝えられた今夏、結局ビスマが残留した背景には、ブライトンが推定1500万ポンド(約22.5億円)で買ったビスマにつけた4000万ポンド(約60億円)の値段を下げる必要がなかった経緯もある。それは、CBベン・ホワイトと引き換えにアーセナルから5000万ポンド(約75億円)の移籍金を得ていたからだ。そのホワイトは、ユース上がりの自家製戦力だ。
また、現オーナー政権下では、スウェーデンで指導者として頭角を現し、後ろから繋ぐポゼッション・サッカーを志向するポッターを監督に抜擢した2019年、テクニックに重きを置く母国代表復興案「イングランドDNA」作成の中心人物だったダン・アシュワースもテクニカルディレクターに迎えるなど、選手以外のリクルートも抜かりがない。
果敢な姿勢を保ちレスターを撃破
ホワイトがチームを去り、先のクリスタルパレス戦では膝を痛めたビスマも欠いていた。他にも、昨年1月にチェルシーから移籍し、右ウイングバックとして戦力となったタリック・ランプティは、その前週のレスター戦で昨季半ば以来の長期欠場からベンチに戻ったばかり。最前線ではダニー・ウェルベックが第1、2節を、最終ラインでもアダム・ウェブスターが第5、6節をハムストリングの怪我で欠場するなど、ここまでブライトンはベストメンバーで試合に臨めない状態が続いている。
しかし、セルティックへのレンタル移籍から戻ったシェイン・ダフィーがホワイトの穴を埋めながら開幕ダッシュに成功。6試合のうち4試合は昨季下位のバーンリーとクリスタルパレス、今季昇格組のワトフォードとブレントフォードが相手だから、という意見は厳しすぎる。
バーンリー戦(2-1)は、昨季リバプールとアーセナルから金星を上げているしぶとい難敵から、スタンドに観客が戻ったアウェイ開幕戦で奪った逆転勝利だった。第2節ワトフォード戦(2-0)は、前半の2ゴールで勝負を決め、ブレントフォードとの第4節では、きっちり守って終了間際に決勝ゴール(1-0)を奪った。
その合間のエバートン戦(0-2)は、6割以上ボールを支配しながら攻め切れなかった。シュートは14本で、うち9本は距離のある位置からのミドルだった。しかし、エバートンと同様、ブライトンから見た格上で中位以上への指標とも言えるレスターとの第5節では、敵にポゼッションを譲りつつもペナルティエリア内でシュート12本と果敢な姿勢で結果を出してみせた。