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プレミア初昇格から5季目で大躍進のブライトン 三笘薫の保有元はオーナーもサポーターも人情派
posted2021/10/05 17:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
9月27日の第6節クリスタルパレス戦に勝てば、リバプールを抜いてプレミアリーグの首位に躍り出るはずだった。しかし、ブライトンは残念ながら引き分け(1-1)止まりで、逆に4位から2つ順位を下げる結果となった。
とはいえ4勝1分1敗で手にした勝点13は、マンチェスター・シティ、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドらと同数で、アーセナルとトッテナムを上回る。序盤戦の段階とはいえ、過去4シーズンをボトム6で終えているクラブが、プレミアのビッグ6と競い合えるスタートを切っているのだから、特筆に価する。ちなみに昨季のブライトンは、計13ポイントを獲得するまでに開幕から15試合を要した。
第5節終了直後にはCL出場圏内にまで浮上
PKによるクリスタルパレスのリードを帳消しにしたのは、後半ロスタイムの94分26秒。土壇場で同点ゴールを決めたニール・モパイが、当日放った唯一のシュートだった。
それでもグレアム・ポッター監督は「気分は最高。サポーターを喜ばせることができた」と試合後にコメント。実際、敵地に乗り込んだブライトンファンは、テレビ解説を務めたジェイミー・キャラガーに「ポイント獲得の資格なし」と言われる内容だろうが、笑顔でロンドン郊外南部のセルハースト・パークを後にしたに違いない。
今季からクリスタルパレスを率いるパトリック・ビエラを「残酷な結末だ」と嘆かせた同点ゴールは、相手GKのクリアを味方が大きく蹴り返して生まれた武骨な好機であっても、彼らの目にはアウェイでのダービーで1ポイントをもたらした美しいロビングシュートと映ったはずだ。
互いの地元は70kmほどの距離にあるが、主要タイトルを争った歴史があるわけではない両チームは、ロンドンから南に延びる高速道路にちなんで「M23ダービー」と呼ばれる一風変わったライバル関係にある。
「シーガルズ」ことブライトンと、「イーグルズ」ことクリスタルパレスは、今から44年前のFAカップ対決に端を発する犬猿の仲だが、1992年から始まったプレミアリーグでの対決は今回が9回目でしかない。
クリスタルパレスも過去29年間で4度降格を経験しているが、ブライトンは2017年が初昇格。5年連続でリーグ1(3部)を戦っていた2010-11シーズンまでは正式な“ホームスタジアム”すら持っていなかった。
そんなクラブのファンとしては、第6節終了時点でのプレミア6位は目がくらみそうな高さ。2011年に完成した待望の「我が家」アメックス・スタジアムに3万人を超す観衆を集め、レスター相手の勝利(2-1)でCL出場圏内にまで浮上した第5節直後は、それこそ天にも昇るような気持ちだっただろう。