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今年で9度目の凱旋門賞挑戦・武豊は“3回”直前で断念していた…サクラローレルにジャパン、ではもう1回はどの馬だった?【秘話】
posted2021/09/30 17:02
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
AFLO
いよいよ凱旋門賞(GI、フランス、パリロンシャン競馬場)が今週末に迫った。
日本からはクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)とディープボンド(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)が出走を予定。すでに現地フランスに入っているが、日本関係者という意味ではもう1人、武豊騎手が参戦する。
日本のナンバー1ジョッキーが騎乗するのはブルーム(牡5歳、アイルランドA・オブライエン厩舎)。キーファーズで知られる松島正昭オーナーが共同馬主のアイルランド調教馬だ。
これが2年ぶり9度目の凱旋門賞騎乗となる武豊騎手だが、本来なら昨年も騎乗する予定だった。手綱を取る予定だったのは今回のブルーム同様、A・オブライエン調教師の管理馬で松島オーナーが共有していたジャパン。しかし、現地入りしていた武豊騎手は思わぬアクシデントを耳にする。オブライエン厩舎で使っていた飼料会社の飼料に禁止薬物が混入していた事が判明。これが検体に残れば失格となるため、同厩舎の馬は全て当日の出走を取り止め。当然、ジャパンも回避する事になったのだ。
まさかの形で参戦がかなわなくなった天才騎手だが、思いもしない形で凱旋門賞出走を取り消す事になったのは実はこれが初めてではなかった。
直前でまさかの馬インフルエンザに感染
話は2007年まで遡る。
前年の凱旋門賞にディープインパクトで臨みながらも悔しい結果となった武豊騎手。その翌年、雪辱を期す機会を早くも得た。前年の日本ダービー(GI)と皐月賞(GI)の2冠馬で、この年も天皇賞・春(GI)を制覇していた鹿毛の牡馬が凱旋門賞挑戦を表明。陣営はフランスでの騎乗経験も豊富な武豊騎手を新たなパートナーとして指名した。
こうしてヨーロッパ最高峰のレースでタッグを組む予定だった馬が、メイショウサムソンだった。
同馬は順調に渡航の準備を済ませ、検疫厩舎に入った。しかし、そのタイミングでトレセン内に馬インフルエンザに感染した馬が見つかり、週末の競馬開催が中止に。それどころか、なんとメイショウサムソン自身も馬インフルエンザに感染してしまったのだ。
現在は世界中が新型コロナウィルス騒動に揺れているが、14年前には日本の競馬界に馬インフルエンザ騒動が吹き荒れ、凱旋門賞挑戦も水泡に帰したのである。