酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
パ新人王は宮城大弥vs伊藤大海 セは佐藤輝明以上に調子安定の栗林良吏・牧秀悟・中野拓夢、大穴は2年目の…《超ハイレベル争いを展望》
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJMPA(L,R)/Hideki Sugiyama
posted2021/09/24 11:07
五輪でも所属球団でも輝いた伊藤大海と栗林良吏。二軍落ちしたとはいえ抜群のインパクトを放った佐藤輝明。新人王に輝くのは誰だ?
トヨタ自動車からドラフト1位で広島に入団したルーキーの栗林良吏は、6月に2試合失点しただけ。伊藤とともに東京五輪に出場したが、後半戦になっても調子をキープし、38試合を無失点で抑える驚異的な成績だ。
チームが下位に低迷しているためセーブ数は阪神スアレスの32に次ぐ2位の24だが、PRは並み居る先発投手を上回っている。
2位の阪神、伊藤将司はJR東日本から昨年2位で入ったルーキー。左腕先発として春先から安定した成績を残す。5月6月に負けが込んだが、チームは以後100球以内で降板させる慎重な起用となり、成績が向上している。規定投球回数には未達だが、例年であれば有力な新人王候補だろう。
大穴的な存在は2年目ながらベテランのような……
大穴的な存在がヤクルトの奥川恭伸。星稜高時代の2019年は甲子園を沸かせ、この年ドラフト1位で入団。2年目の今季はベテラン投手のような安定した投球を見せ、高校時代から目立っていた効率的な投球がプロでも発揮されている。
現在7試合連続QS(Quality Start=6回以上投げて自責点3以下、先発投手の最低限の責任)を続けているが、優勝争いが激化する中で、ヤクルトの実質的なエースとして活躍すれば、目立ってくるだろう。
残り試合数は少ないが、セ・リーグは各選手の今後の活躍次第で新人王が決まるだろう。
打者は牧、中野に佐藤輝明が追い付くかどうか。投手は栗林が頭一つ抜けているが、伊藤、奥川にも可能性はあろう。
新人王が接戦の年は、勝るとも劣らない成績を残した選手に、NPBが新人特別賞を与えることがある。昨年のセ・リーグも新人王は広島の森下暢仁が選出され、巨人の戸郷翔征が新人特別賞を授与された。
今季のセ・リーグは、複数の新人特別賞が出るかもしれない。
新人王は数字ではなく、記者の投票で決まる。それだけに各選手の最終盤での奮起がタイトルの行方を左右すると言えよう。