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「高校3年間で“1打席”。そんなプロ野球選手いないでしょ」ロッテ守護神・益田直也が“ぶ厚い柱”になるまで…マリン登板数は歴代最多「296」
posted2021/09/21 11:03
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
マリンのマウンドで一番投げている投手は誰か?という問いに皆さんは答えることができるだろうか。
2位が薮田安彦氏の254試合。3位が藤田宗一氏の234試合。4位は小林雅英氏で205試合と続く。2005年の日本一に貢献し「YFK」と呼ばれ、長らくマリーンズの勝利の方程式として活躍し続けた球団OBの3名よりも多く“マリンのマウンド”に登場しているのが、益田直也投手だ。
9月21日現在で296試合に登板。マリンのマウンドだけで16勝・80セーブ・73ホールド・89HPを記録している。実に1197人の打者と対戦し、防御率は2.68で271個の三振を奪っている。
このことを益田本人に伝えると驚きながら、嬉しそうな表情を浮かべた。そして「正直、積み重ねなので、実感はわかないですね。ただ、昔のことを考えると本当にここまで来られるとは想像もしていなかったので嬉しいですけど」と遠くを見つめた。
高校時代は「1打席」のみ
人生とはつくづく分からないものだ。
誰よりもマリーンズの本拠地ZOZOマリンスタジアムのマウンドで投げ続け、絶対守護神としてファンから絶大な信頼を誇る男の市立和歌山商高校時代の公式戦出場試合数はたったの1試合なのである。しかも投手ではなく代打での出場。その1試合も、高3夏の最後の和歌山県大会準決勝だった。
「練習試合とかでは代打の成績が良かったのですよ」と益田は言う。
和歌山県大会準決勝・高野山高校戦の試合終盤。2-4の2点ビハインド、1死一、二塁の場面で代打での出場を言い渡された。結果は初球を打って、遊撃へのハーフライナーに倒れる。公式記録は遊飛と記されている。この日の試合に敗れ、益田の最後の夏はあっという間に終わりを告げた。