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「高校3年間で“1打席”。そんなプロ野球選手いないでしょ」ロッテ守護神・益田直也が“ぶ厚い柱”になるまで…マリン登板数は歴代最多「296」
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2021/09/21 11:03
9月8日には史上17人目となる通算150セーブを達成した益田直也。今シーズンも12球団最多の33セーブを挙げている
9月8日のオリックス・バファローズ戦(ほっともっと神戸)では史上17人目の通算150セーブを達成。今季はセーブ王争いで独走するなど、この男に繋げば絶対に勝てるという安定感がある。
そんな頼もしき右腕の区切りのZOZOマリンスタジアム通算300登板まであと4試合。毎年、貴重な場面で投げ続ける鉄腕が千葉ロッテマリーンズ史上に残るメモリアルな数字を残そうとしている。
「こういう選手でもプロ野球選手になれる。プロでやれるというメッセージを子供たちや若い人たちに伝えたいといつも思っている。今はまだ才能は出ていないかもしれないけど、なにかのキッカケで才能が芽を出すことがある。そういう子たちの希望のような存在になれる選手でありたい」
益田はそう言って連日、ブルペンに向かう。出番はチームの勝利がかかった最終回。息の詰まる場面だ。最後を締める役割は並みの精神力では務まらない。そんな重圧と向き合い、コツコツと努力を積み重ねて今がある。
高校3年間でベンチ入りすることすらなかなか出来ず、野手としてもわずか1試合、1打席しか出番がなかった若者は今、マリーンズを引っ張り、1974年以来となるリーグ1位でのリーグ優勝へと導こうとしている。
諦めてはいけない。人には無限に広がる可能性がある。
背番号52――その背中は、そのことを雄弁に物語っている。